第72話 ミオンの決断
「ブケって都市に大きな貢献しないとなれないのでは?」
「ああ、言葉足らずでしたね。正確には現在フロストシティの都市に現存するのブケに養子、もしくは婚姻して一族になるということです」
緊迫した空気の中、ミオンは以前リディから聞いたブケとは都市に多大な貢献をした物しかなれないと聞いていたとヤポンスキーに伝える。
ヤポンスキーは訂正して養親組などの方法で武家になることができると再度説明する。
「ええっと、ちょっと目的があるのでそれは無しで」
「ミオンッ!?」
どう返答するか一同がミオンを見つめていると、ミオンは悩む様子もなくブケになることを断る。
ゴールデンバックの面々はあり得ないという驚いた顔でミオンを見る。
「目的ですか? お聞きしてもよろしいですか? 場合によっては当商会やゴールデンバックの皆さんも協力できるかもしれませんし」
「目的を話す前に僕の大切な仲間を紹介します。ナビィ」
『初めまして皆様。私、マスターにご紹介いただいたサポートデバイスAI、ナビィと申します』
ヤポンスキーがミオンの目的を聞くと、ミオンはPDAを取り出す。
PDAの画面にはナビィの姿が表示され、外部音声でヤポンスキー達に挨拶する。
「なるほど……ミオン君のハッキング能力はサポートデバイスによるものだったんですね」
「はい、ナビィがいなかったら僕はとっくの昔に死んでいたと思います」
ヤポンスキーはナビィの自己紹介を見て一人納得している。
「植物園の遺跡で警備室ロック開けたのも……あんたか?」
『はい』
ターカーは植物園の遺跡でミオンが警備室のアイスロックを一瞬で解除した時のことを思い出す。
「こんな高性能なサポートデバイス一体どこで……」
「え? 雪堀でだけど?」
リディがPDAを覗き込み、入手先を聞いてくる。
「そこらの雪の中にそんなものが埋まってるわけ……」
「リッ、リディ落ち着いて……実際掘り当ててるし、実際車両とか掘り出してる人たちもいるし、ありえない話じゃないと思う……多分」
ミオンが雪堀で手に入れたというと、リディはそのんなものが埋まってるわけがないと叫びたいが、イザベラに止められる。
イザベラ自身、半信半疑というか、どれだけ凄い幸運なんだろうと思っている。
「話を戻しましょうか。ミオン君はサポートデバイスを我々に紹介しましたが、それがミオン君の目的と何か関係でも?」
「ナビィと約束したんです。ナビィに現実の体を用意するって。できれば今回の報酬はナビィのボディ制作に使えたらと」
『マスター、ありがとうございます。この御恩は量子回路が焼き切れるその日まで忘れません』
ヤポンスキーがミオンの目的を聞くと、ミオンはナビィとの約束を口にして、今回の報酬でナビィのボディを作りたいと提案する。
「ふむ……今回手に入れた警備ロボットでは駄目なんですか?」
「えーっと……ナビィが言うにはスペック不足とかで……インストールできなかったんだよね?」
「はい、私の本体AIをいれるならこれぐらいのスペックが理想です』
ヤポンスキーは今回手に入れたマルクスM2があればいいのではと思ったが、ナビィが言うにはスペック不足でダメだったらしい。
ナビィはヤポンスキーのPDAに自身が求めるボディスペックデーター情報を送信する。
「これは……すまないが、警備ロボット開発部門のエンジニアを呼んでくれないか」
要求内容を確認したヤポンスキーは即座に内線でロボットに詳しい専門家を呼び出した。
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