第71話 リザルト ミオン編



 Gランク遺跡のショッピングモールの金庫に残っていた遺物の最終査定が終わり、報酬を受け渡したいと連絡を受けて、ミオンはヴァルプルギス・ナイト・マーケットモールに向かった。

 前回のトラブルを踏まえてちゃんと日時を指定し、ターカーさん達に服装を見繕ってもらった。


 ただ……ゴールデン・バックのティーチさんが喜ぶからと言って女性物着替えさせて写真撮るのはやめてほしい。

 ティーチさんも男の人が女性の服着るより、リディやイザベラとかちゃんとした女性が着た方がいいとミオンは思いながらも大人しく着せ替え人形となっていた。


「緊張する……緊張しますわね」

「え? どちら様!?」


 ハイエナと呼ばれる悪質な雪豹たちが今回の報酬を狙う可能性があると言ってゴールデン・バックからターカー、リディ、イザベラ、アリスの四人がミオンの護衛として同行していた。


 ターカーは飲み比べで負けてからヤポンスキーに対して態度が変わり、精いっぱいのおしゃれと化粧をして参加しており、アリス達から別人認定を受けていた。


「すいません、アポイトメントをとったミオンです」

「連絡は承っております。此方の者がご案内します」


 マーケットモールの警備兵に雪豹の免許とアポのことを話すと、話が通っていたのか、前回のようなトラブルもなく案内される。


 オフィスエリアにある網膜、指紋、声帯、静脈の五重セキュリティがされた厳重なゲートがある会頭室に案内されると秘書と思われる方が取次ぎをして、室内に案内される。


「お待ちしておりましたよ。ゴールデン・バックの皆さんもお元気そうで」

「はっはい! あた……じゃなかった私もこの通り元気です!!」


 ヤポンスキーは依然と出会った時と同じく天然木材を使ったデスクで仕事をしており、ミオンが入ってくるのを見ると歓迎の出迎えをしてくれる。

 ターカーは上ずった声で私と言い直しながら元気であることをアピールするようにボディビルダーポーズをとる。


「さて、今回の買い取り額ですがこちらの額になりました」

「いぎっ!?」

「……っ!?」


 ヤポンスキーは金庫から持ち帰った遺物の買取査定額を電子ペーパーに表示させる。その額を覗き見たターカー達は絶句し、イザベラに至っては卒倒した。


「えーっと……なんかすごく0が多いんですけど、凄い額なんです?」

「あのなあ……ミオンにわかりやすく言えばD~C……いやBランクの雪豹が稼ぐ額かな? とにかくすごい額なんだよ」

「あはは~、ミオン君まじウケるし~」


 肝心のミオンは額が大きすぎて事態を理解していないか、ある一定数以上の計算ができないのか0がいっぱいある程度の認識だった。

 思わずターカーが素に戻って頭を抱えてその場にしゃがみこみ、どれくらいの稼ぎか例え、アリスはミオンの天然っぷりに笑っていた。


「Gランクでこんな額なんてありえるんですか?」

「可能性としては1%あれば御の字でしょう。ミオン君はその1%を当てた豪運の持ち主ですけどね」


 ミオンはいまひとつピンと来ていないのか、ヤポンスキーにGランク遺跡で今回のようなことあるのかと聞くと、ヤポンスキーはめったにないと答える。


「内訳としてはアメコミが一番高いですね。マーケット主催のオークションは凄い白熱してましたよ」


 ヤポンスキーは自分が主催するオークションを思い出す。

 参加費や手数料などでかなり儲けた様で機嫌が良かった。


「さて、支払い方法ですがミオン君はどうするか考えていますか?」

「え? どうするって……貰えないんですか?」


 ヤポンスキーは応接用のソファーに座るとミオンを見定めるように見つめて支払い方法を聞いてくる。

 ミオンはポンと現金でもらえるとしか思っておらず支払い方法を聞かれて困惑する。


「今回、額が額ですからね……その気になれば私が口添えすれば、今回の資金でブケにもなれますよ」


 ブケにもなれるとヤポンスキーが発言した瞬間、空気が変わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る