第67話 金庫回収
「こちらC班、クリアリング完了。ミオンって言ったっけ? あの子が言った通り、遺跡内の警備ロボットは全機停止しているよ。回収班を入れてくれ。レッドカーペットは用意できないけどな」
ゴールデンバッグのクリアリング担当のC班が遺跡に突入して1時間ほど時間が経過後、クリアリング終了の報告が来た。
「了解、念のためそのまま金庫があるエリアを中心に警戒してくれ。これから回収班を向かわせる。通信アウト。回収班、聞いていたな? いくぞ」
通信を終えたターカーが回収班に声をかけて準備を促す。
「さて、何があるのか楽しみですねえ」
「えーっと……ヤポンスキーさんは待機して戴きたいですけど……」
回収班が準備しているとヤポンスキーも同行しようとして、ターカーが敬語でヤポンスキーを止めようとしている。
「ターカーさん率いる優秀なゴールデン・バックの面々がいるのですから大丈夫でしょう? 私はターカーさんの事信じていますから」
「ひゃっ……ひゃい! お任せください!!」
ヤポンスキーはターカーの手を取ると微笑みかけながら囁くと、ターカーは顔を真っ赤にして上ずった声で返事をする。
そんな二人……特にターカーの赤面顔を見たゴールデン・バックの面々は目の前で起きていることが信じられないという顔で状況を見つめていた。
「お、お前達! ヤポンスキーさんには怪我一つ負わせるんじゃないぞ!」
ターカーはごまかす様に怒鳴って、回収部隊を率いて遺跡に突入する。
入り口に近づくと、以前ミオンが探索に訪れた時と同じように武装に対して警告音声が流れる。
「本当に停止しているな」
本来ならモール内を巡回しているはずの稼働状態の警備ロボが全機、直立不動の状態で停止している。
「ミオン君、どうやって警備ロボットの停止コードを手に入れたのですか?」
「えーっと……整備不良で動きの悪いロボットがいたので組押さえて、メンテナンスハッチ開けて……さび付いてて大変でした」
「意外とワイルドな手法ですねえ」
停止していた警備ロボを見ていたヤポンスキーがミオンにIFFを吸い出した方法を聞き、ミオンがナビィから言われた方法を言うと、一緒に聞いていたイザベラが苦笑しながら感想を漏らす。
「C班、異常なしです!」
「回収班、回収作業に入ります!」
モール内の質屋に辿り着くとC班が警備しており、回収班と合流するとお互い状況を報告し合う。
金庫の前にはミオンが単独で潜った時と変わりない姿でマルクスM2が鎮座している。
「ミオン、開けてくれ」
「はい」
ミオンがPDAを操作して金庫のロックを解除してドアを開ける。
「あ、アメコミは手袋をはめて取り扱いに気を使ってください」
回収班が金庫の中に残っている遺物を回収していくと、ヤポンスキーがアメコミの回収に対して指示をする。
「旧時代の紙幣も結構残っているなあ。こりゃ大当たりだ」
「あれって使えるんです? てっきり焚火の燃料ぐらいかと思ってたんですけど」
回収されていくドル札の束を見てターカーが口笛を吹く。
ミオンがドル札は焚火の燃料ぐらいだというと、回収班たちが何言ってんだこいつという顔でミオンを見る。
「えっと……あの……失礼なこと言いました……か?」
「ミオン君は独学ソロで雪豹になってGランクになったばかりでしたね。遺跡の中にはロボット販売んだけのオートメーション化されたショップなどが生き残っている場合があります。そういったオートメーションショップは今都市で使われている通貨ではなく、文明が崩壊する前のアメリカ合衆国が発行した紙幣で遺物を購入することができるんですよ」
周囲の反応からミオンはおろおろした様子で自分が失言したのかと聞く。
ヤポンスキーが周囲に聞こえるように旧紙幣の利用方法を教える。
「いちいち旧時代の紙幣を使わなくても勝手に持っていけばいいのでは?」
「勝手に持っていくと窃盗という旧時代の刑罰に該当して、警備システムが作動します。ですが、ちゃんと売買取引すれば警備システムが作動しません。安全を買えるんですよ」
ミオンが勝手に持っていけばと疑問を口にすると、ヤポンスキーが勝手に持っていくとヤポンスキーが諭すように旧紙幣を使うメリットを説明する。
そんな話をしている間も金庫の中身は次々とトレーラーに運ばれていった。
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