第65話 Gランク遺跡到着


「各自点呼を終えたら乗車しろ!」


 翌朝、ゴールデン・バッグの車両が多数駐車している車庫では慌ただしくターカーが叫んで護衛部隊を点呼している。


「先方隊出発しろ!」


 全員の乗車を確認すると前衛を担当するラッセルを搭載した車両から出発していく。


「おはようございます、ターカーさん」

「おう、おはよう! よく眠れたか?」

「ベッドが柔らかすぎて最初は気持ち悪かったですけど、気が付いたらぐっすり眠れました。ターカーさんは?」

「一晩寝ればへっちゃらさ」


 前衛の出発を確認したターカーが割り振られた車両に戻ると、ミオンが挨拶する。

 ミオンは昨日の野に見比べで倒れたターカーを心配するが、ターカーは力こぶを作って平気なことをアピールする。


「おはようございます。体調は大丈夫ですか?」

「ひゃっ、ひゃいっ! だだだ、大丈夫でしゅ!!」

「え? 誰? ターカーの偽物?」


 ダイバースーツ姿のヤポンスキーが搭乗しターカーに体調を聞くと、ターカーは顔を真っ赤にしてしおらしく座席に座り直して噛みながら返事をする。

 同乗していたアリスはターカーの変化に唖然として、偽物かと思わず口走る。同じく同乗していたリディとイザベラもどちら様?という顔でターカーを見ていた。

 

「いやはや……相手は女性だというのについ勝負に熱くなって、汗顔の至りですよ……申し訳ない」

「いえっ!? あた……じゃなかった、私も自分の限界忘れて飲んだのが悪かっただけで……」


 ヤポンスキーとターカーはお互いに頭を下げ合い、謝罪しあう。

 そうこうしている間に中列、後列も出発していき、輸送隊は今回の目的地であるGランク遺跡のショッピングモールへと向かう。


『こちら前列車両、ミュータントの一団と遭遇。ミュータントの種別はストーカー、遺跡までついてこられると困るので殲滅に移る』

『こちら後列車両、挟撃及び雪賊の襲撃に備えて停車後、オートプロテクター部隊展開する』

『こちら中列車両、停車後偵察ドローン展開する。全員チャンネルあわせてくれ』


 農業コロニーから出発して30分ほど走っていると通信で前方車両がミュータントに遭遇したと伝えてくる。


「ストーカー?」

「狼型のミュータントで獲物に対する執着心が強くてね。仕留めるまで延々ついてくるしつこい連中よ」


 ミオンは聞き覚えのないミュータント名に近くにいたリディにどんなのか聞く。

 リディはPDAを取り出し、ストーカーと言われるミュータントの画像を見せる。

 画像にはもっさりとした体毛とインパラのような角が生えた中型バイクサイズの白い狼が映っていた。


「僕達も出るべきですか?」

「いや、ミオンは今回案内役だし動かなくていい。戦闘用車両かオートプロテクターがないと相手にするにはきついぜ。生身で対応するなら超遠距離から狙撃ぐらいか」

「ストーカーって車両に追いつけるぐらい足早いしねえ」


 ミオンはショットガンを取り出して戦闘準備に入ろうとするが、ターカーとアリスから止められる。


『こちら先頭車両。ストーカーの排除に成功。損害無し。展開した部隊回収後出発する』

「ほほう、これは頼もしいですね」


 ストーカー発見から10分後、駆除に成功した報告が入り、報告を聞いたヤポンスキーが手際の良さを褒める。


『こちら先頭車両、目的地に到達。陣地構成にはいる』


 ストーカーを駆除してから30分ほど移動すると今回の目的地である今回の目的地である遺跡についたと戦闘車両から報告が来る。


「さあ、どんなお宝が眠っているか楽しみですね」


 ヤポンスキーはミオンに笑みを向けながらそう呟いた。

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