第53話 ギルドショップ、Gランクの品ぞろえ


「ミオン、この後は?」


 ザ・カウントで工事用ライドメタルの整備の依頼をしたミオン。

 ライドメタルはショップの牽引車で直接引き取りに行くらしく時間が余ると、リディが次の予定を聞いてくる。


「ギルドショップでGランクで販売可能になった品を確認したいんだけど」

「あの、私達もついていっていいですか? 私たちまだHランクなんで興味あるんです」


 予定を聞かれたミオンはランクアップで追加された商品の確認にギルドショップへ行くというと、イザベラが一緒についていきたいという。


「あれ? 二人もGランクじゃ?」

「いいえ、私達はまだHよ」


 イザベラがまだHランクというとミオンは首をかしげる。

 ミオンの認識では植物園跡地の遺跡潜り後、全員Gランクに昇格したと思い込んでいた。


「え? 何で僕だけランクアップ? 君たちの方が先輩だよね?」

「ギルドの昇格基準はわからないけど、たぶんミオンがハッキング能力持っていることとソロでサスカッチを討伐したからじゃないかしら? 私の考察なんだけどさ———」


 リディが言うには植物園跡地の探索時、リディチームとミオンとターカーの2チームに分かれて探索したことで、全体の評価ではなくミオンとターカーチームの功績になったのではと予測する。


「あれ? それじゃあ護衛依頼も受けれない? Gランクの遺跡に潜るんだけど」

「はい、確かに私達HランクだけならGランクの遺跡には潜れませんが、上位ランクの人とチームを組めば潜れます。その護衛依頼もミオンさんのチーム、もしくは護衛メンバーにGランク以上がいればHランクも上位ランクの遺跡に入れます」


 ミオンが疑問を口にすればイザベラが疑問に答えるように上位ランクの雪豹がいれば自分のランクより上の遺跡にも入れると説明する。


「もし縁も所縁もない上位ランクから上位の遺跡に一緒に入らないかって言われたら気を付けてね。大抵は鉱山のカナリアか肉壁、ミュータントの足止め要員でしかないから」

「うん、気を付けるよ」


 リディが補足するように注意する。

 そんな話をしながら三人は雪豹ギルド内にあるギルドショップへと向かう。


「すいません、Gランクになったばかりなのですが、Gランクで購入できる装備について教えてくれますか?」

「Gランクになりますと、一部重火器、民間用警備ロボット本体及びパーツの販売、別途免許がいりますが爆発物が購入できます」


 ミオンが若い男性店員にギルド証を見せて商品の説明を求めるとGランクで購入できるものを説明してくれる。


「別途免許?」

「はい、Gランクからはギルドが用意している各分野の講師の授業を受けられ、授業コースを卒業すると卒状書や免許が発行されます。爆発物は取り扱いが危険なので正しい知識を持ってるという証明でもある免許がないと販売できないんです」


 聞きなれない用語にミオンが店員に聞き返すと、店員は丁重に説明する。

 ギルド発足当初、知識のない人が爆薬を使って遺跡を損傷させたり、味方を巻き込んだ事故があり現在は所持するには別途免許がいるということになったという。


「あれ? イザベラはHランクなのに爆薬知識持ってるって言ってたよね?」

「爆薬の講師の一人が私の兄なんです。兄から直接レクチャーを受けてGランクに昇格すれば自動的に免許を貰えることになってるんです」


 店員の説明を受けてミオンがイザベラが知識を持っていることを口にすると、イザベラの兄がギルドの爆発物の講師の一人で直接講義を受けたと申し訳なさそうに答える。


「でも、爆薬は免許がないと買えないんじゃ?」

「えーっと……大きな声では言えないんですが、規定ランクの人が購入して、下のランクの人に貸し与えるのはセーフなんです。つまりお客様が爆薬を購入してそちらの人に渡して使用するのはセーフなんです」


 店員がミオンの疑問に対して補足するように買い与えるのはセーフと伝える。

 最後に乱用しないでくださいねと釘は刺された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る