第49話 依頼受託
「今回の依頼に関して少し質問があるのだが……話せるか?」
「……あ、はい」
ハイレディンが声をかけると心ここにあらずと言った感じだったミオンが我に返って慌てて返事をする。
「目的の遺跡はGランクで間違いないか?」
「はい、Gランクのこの遺跡です」
ミオンはPDAを操作し、雪豹ギルドで行った手続きや、目的地の遺跡情報を表示してハイレディンに見せる。
「ここはたしか……」
「ターカー、知ってるのか?」
ミオンが提示していた情報をみたカーターは件の遺跡に心当たりがあるような呟きをする。その呟きが聞こえたハイレディンはターカーに遺跡について質問する。
「警備ロボットがちょろっと残っていたのと、店舗の一つに金庫がありました。ただ、その金庫を守っているのが軍用の警備ロボットだったのでほとんど手つかずだったはずです。リディ達がGランクになったら行く遺跡候補に挙げてました」
「ええっと、その警備ロボットを何とかして金庫開けたんです」
「へえ……」
ターカーがミオンが見つけた金庫と警備ロボットについてハイレディンに報告すると、ミオンが補足するように金庫を何とかしたことを話す。
「ミオン、もう少し発言には気を付けた方がいいぞ。話を持ち掛けた雪豹によっては銃で脅して、もしくは殺して依頼を横取りして『ミオンから代理、委託、譲渡を受けた』なんて言って成り代わったり、手柄を奪ったりする奴らもいるぞ。金庫の中身の総量は? 小型トラック一台か? 大型トレーラー持ち出すほどか?」
ハイレディンは脅すように注意すると、金庫の中身について聞いてくる。
『マスター、遺跡にいる警備ロボット全機も持って帰るならセミトレーラータイプが必要です』
「ええっと……セミトレーラーが必要っぽいです」
「ならばトレーラー一台と護衛車両、荷物運びと護衛人員でこれだけ動かせます」
ナビィのアドバイスを聞きながらミオンが必要な輸送車種を伝えると、ずっと黙っていた副官のティーチが手持ちのPDAを動かして部隊編成を仮組みして、ハイレディンに見せる。
「そいつらが今手空いてるのか? それで準備進めて見積書作ってくれ」
「了解しました」
編成内容を見たハイレディンはそれで話を進めるようにティーチに命令すると、ティーチはメールで編成予定のメンバーに一報を入れる。
「ええっと、引き受けてくれるということでいいんですよね」
「輸送費とか諸々、ヴァルプルギス・ナイト・マーケットが全額もってくれるんだろ? 断る理由はねえよ。すぐに動くのか?」
ミオンがおずおずと言った様子で聞くとハイレディンは依頼書のPDFに受託のサインをしてミオンのPDAにデータを送信する。
「いえ、ヤポンスキーさんの都合もあって実際に遺跡に行くのは来週にしてほしいって」
「そうか、出発日か向こうの都合とかで延期とかになったらターカーに連絡してくれ。話は以上か?」
「ええ、よろしくお願いします」
依頼受託の旨を聞いたミオンは退室しようとする。
「それからミオン、依頼日までは雪豹活動は可能な限り自粛してくれ。こういう仕事初めてだろ? 下手に怪我とか行方不明になったり、死んだりすると多方面に迷惑がかかる。わかるだろ?」
「あー……そうですね。そうします」
出ていこうとするミオンにハイレディンが声をかけて雪豹活動の自粛をお願いする。ミオンも言われてみればそうだと思ったのかハイレディンに同意する。
「金に困ってるならうちに来い。依頼日まで寝床と食事ぐらい用意してやるよ」
「ええっと……ヤポンスキーさんから前金貰ってるので何とかなります」
「そうか。さっきも言ったが発言には気を付けろよ? ミオンの今の発言、追い詰められた人間が耳にすれば、金を奪いに来るぞ」
「あっ! 気を付けます……」
ハイレディンが面倒みるというとミオンはお金があるから大丈夫だと答える。
それを聞いたハイレディンは苦笑しながら再度注意してミオンを見送った。
「で……ターカー、お前喰ったのか?」
ミオンを見送ってしばらくして、ハイレディンはターカーに質問する。
「まだ喰ってませんよ。ちょっと身だしなみとか、TPOに対して無頓着だったのでレクチャーがてらに隅々まで洗って、メンバー何人かと着せ替え……ゴホン、ファッションショーしてただけです。見ます?」
ターカーはけらけら笑いながらいろんな服を着たミオンの画像をハイレディンに見せる。
ターカーが見せた画像には様々な衣装を着せられたミオンがいた。
誰かの悪ふざけか、中には化粧させられ女性物の服を着て女装させられたミオンの写真もあった。
「あ、すいません……これとこれ、コピーして送ってくれませんか?」
「ティーチ!?」
ミオンの着せ替え画像を見ていたティーチがいくつかコピーを希望する。
希望した画像はミオンを女装させた写真で、ハイレディンは自分の副官の隠れた性癖に驚いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます