第23話 サスカッチ
「随分と性能がいいツールだね、どこで手に入れたんだい?」
「雪堀で掘り当てました」
ターカーは一瞬でドアの電子ロックを解除し、警備室を掌握したミオンのツールに関心を持ち、入手ルートを聞く。
「なるほど、飯のタネだもんね。そう簡単には入手経路なんて明かせないわね」
「いや、えーっと……」
『マスター、この施設まだ使える機能がいくつかあります』
ミオンは素直に雪堀で掘り当てたと答えたが、ターカーはミオンの答えを聞いて勝手に勘違いしてうんうんと頷いている。
ミオンはどう説明したらいいかと悩んでいると、ナビィが植物園遺跡の生きている機能を幾つか見つけ、ARゴーグルに表示する。
「どうした?」
ミオンがARゴーグルに表示された機能一覧を読んでいると、怪訝な表情でターカーが声をかけてくる。
「この遺跡、まだ使える機能があるようですね。元が植物園だったのでいくつかのエリアの温度調整できるようです」
「へえ……最悪ブリザードで閉じ込められてもなんとかなりそうだな。他には?」
「ええっと……温室内の光量の調整に、一部温室の窓の開閉、スプリンクラーの作動……は駄目ですね、途中の配管が抜かれています。あと生きている監視カメラの向きを変えれます」
ミオンが植物園の生きている機能についてカーターに説明する。
『マスター、リディたちのチームを補足しました。モニターに映します』
「お、リディ達だな」
ミオンが説明している間もナビィは並行序列処理で監視カメラの映像を分析し、リディ達のチームを見つけると、モニターに映す。
リディ達は前衛にキャサリン、ニノとニナの三人、真ん中にリディ、後衛にイザベラという隊列で探索を進めている。
「お、押上式の隊列か。ただ後衛の警戒が疎かだな……」
ターカーは監視カメラに映るリディ達を見て感想を述べる。
「押上式って何ですか?」
「前衛に三人置いてその三人がキルゾーンを構築するように攻撃し、前衛が負傷した場合、中衛が負傷者を引きずったり、前衛と入れ替わったりする隊列だ」
聞きなれない単語を聞いたミオンはターカーに質問すると、ターカーはリディがとった今回の陣形について説明する。
『警告! リディの進行ルートに未確認生命体』
ナビィがアラームを鳴らして監視カメラを動かし、未確認生命体の姿をモニターに映す。
監視カメラに映ったのは2体の全長1m半のトドに筋骨隆々の手足を生やし、全身灰色の体毛に覆われたミュータントだった
「サスカッチの幼体だとっ!?」
ミュータントの姿を見たターカーが驚愕する。
「リディさんのチームとこのままだとコンタクトしてしまいますけど、どういうミュータントです?」
「説明は向かっている最中にする! 今すぐリディのチームの元に向かうぞ!!」
ターカーはそういうと警備室のドアを壊す勢いで飛び出していいた。
『最も早く合流できるルート算出します』
「よろしくっ、ナビィ!!」
ミオンもターカーを追いかけて出ていった。
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