第22話 警備室


「こっちは従業員通路のようですね」

「なあミオン、植物園の見学ルートはほとんど漁られてるし、こっち調べてみないか?」


 探索の途中従業員用つーろをミオンは見つけ、ターカーが従業員エリアを探索しないかと提案する。


『マスター、私もスタッフエリアの探索に賛成です。警備室が見つかれば、生きている端末や設備を調べることができます』


 ナビィもスタッフエリアの探索に賛成し、探索ルートをミオンはスタッフエリアに変更する。


「こっちも何もありませんね」

「まあ、Hランクだしなあ」


 スタッフエリアもミオン達が来る前に他の雪豹たちによって荒らされていたのか、何もない。

 自販機は中身を全部抜きとられてガワだけになり、事務所と思われるエリアは机もロッカーも荒らされて、何もなかった腹いせに壊されていたりする。

 机の上にあったパソコンも中身を抜き取られてケースだけが埃かぶっていた。


「ここは警備室みたいですが……ドアが凄いですね」

「あー、誰かパスコード解除に失敗してアイスロック状態にしちまったんだな。んで物理的にドアを破壊しようとしたが無理だったってとこか?」


 警備室と書かれたドアはぼこぼこで何度か破壊を試みた痕跡がある。

 だがドアが頑丈だったのと、爆薬等を使ってまで破壊するコストに見合わないと思われたのか放置されている。


 ターカーがドアノブ付近にあるパスコード打ち込み式になっており、触れると本来なら数字の羅列が出るところ、ロックされていますという警告文が表示される。


『マスター、私なら解除できると思います』

「わかった」


 その様子を見ていたナビィが自分なら解除できると言い、ミオンはPDAのコードを伸ばして刺し込み口を調べる。


「お? ミオンはハッキング知識持ってるのか?」

「ええっと、僕自身はないですけど、ツールがあるので」


 ミオンの様子を見ていたターカーが感嘆の声を漏らして、様子を窺う。


『解除しました』


 コードを差し込んで2秒も経たないうちにガチっとドアのロックが解除される音が響き、ナビィが胸を張って解除成功したことを知らせてくる。


「……早すぎね?」

「そうなんですか?」


 ターカーはロック解除のあまりの速さにドアとミオンのPDAを二度見し、本当にドアが開いたか確かめる。

 ミオンは他のハッキング能力を持っている雪豹を知らないのでナビィがどれだけ凄いかが分からずにいた。


「中は荒らされてないな」


 銃を構えたターカーが先に部屋に入り、ミオンを手招きする。


『マスター、生きている設備がないか調べたいので、あちらに差し込んでください』


 ナビィに言われるまま、ミオンは警備室にあった操作盤にコードを差し込む。


『予備電源確保。警備室内の電源を起動させます』


 ブォンという駆動音と共に警備室内の電灯が明かりをともす。

 同時に壁一面に無数の画像が表示される。


『生きている監視カメラの映像です』


 長い年月放置されたのか、かなり画質は荒い。

 モニターには植物もかれて、来園者もいない無人の園内が映し出されていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る