第21話 植物園跡探索
「遺跡内は暖かいね」
『元が植物園だったので空調設備や建物自体に温度調整機能が備わっていたのでしょう。防寒具の温度設定変更します』
遺跡に入るとその温かさにミオンが呟き、ナビィが防寒具の温度設定を調整する。
「ほとんど何もないわね」
「まあHランクの遺跡だしねえ」
ニノとニナが言うように遺跡内部はほとんど何もない。
園内の植物は長い年月放置されたことによって死滅しており、枯れた残骸がわずかに残っている。
植物の成長管理に使われていた機械類は分解されて剥がされ、二束三文のスクラップが申し訳程度に残っているぐらいだった。
「案内板が残ってますね」
ミオンは壁に打ち付けられた金属製の植物園全体の案内図が載っている案内板を見つける。
植物園は現在地であるエントランスを中心に扇形に伸びる三方向の通路があり、それぞれ環境下の違う植物を当時は展示していた。
「配管ぐらいしか価値がある物はないですですね」
「落穂拾いは男性に任せて私達はミュータント狩りよ」
イザベラが周囲を探索して価値がありそうなものを探すが、配管を剥がして屑鉄として売るぐらいしかないと伝え、リディは落穂拾いからミュータント退治に作戦を変更する。
「私達はこっちのルート進むから。ついてこないでね、ミュータントと間違えて撃つかもしれないから」
リディは壁に残っていた案内板を銃口で叩き、自分の進行ルートを知らせる。
最後についてきたら撃つと警告して立ち去る。
イザベラは謝罪するように何度も頭を下げて、キャサリンは両手てバイバイと手を振り、ニノのニナはミオンを無視してリディについていく。
「はぁ……筋金入りだね、あれは……悪いね、ミオン」
「別に気にしていませんよ。事実遺跡探索は初めてですし、彼女たちは五人でチームプレイを設立させてるみたいですから、僕が入って狂わせるよりはマシですし。とりあえず僕達はこっちのルート回って合流という形でいいです?」
ターカーはマスク越しに頭をかいてため息をつき、ミオンに謝罪する。
ミオンは気にしていないと答えると、案内板の地図を指差して大まかなルートを伝える。
「本当に遺跡潜り始めてかい? 手慣れているように見えるけど」
「自分の意志で潜るのは初めてですよ」
ミオンはマスクの下で遠い目をしてそう答える。
「あれこれ質問するかもしれませんが、問題があったら言ってください」
「あいよ、それじゃあ出発しようか」
ミオンとターカーはリディたちと反対のルートを探索する。
「ミュータント狩りするなら、痕跡を見つけることだ。糞、足跡、食べ残しなどが痕跡になるから、周囲を注意深く観察しろよ」
ターカーは先頭を歩きながらミオンに遺跡探索のアドバイスをする。
「こういった遺跡で金になる物って何です?」
「んー……遺跡にもよるが大抵は機械を分解して使えるパーツの剥ぎ取り、戦前の品の回収かな。後は倒した警備ロボのパーツはがしとか」
そんな話をしながらミオンとターカーは遺跡の探索を続けた。
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