第20話 遺跡:植物園跡


 移動に約2時間で、今回の目的地である植物園の遺跡にミオン達は辿り着く。


 まず運転手であるギルド職員が降りて、リモコン操作で遺跡入り口に設置されたセントリーガンの稼働を停止する。


 ミュータント、雪賊、盗掘を企てる雪豹対策に遺跡にはセキュリティが設置されており、ランクの高い遺跡ほど警備兵や警備ロボなどが配置されて厳重に見張られ、最低ランクの遺跡になれば遺跡の入り口にロックシャッターとセントリーガンだけだったりする。


「これで内部にはいることができます。帰還するときは、お渡しした無線を使用し、こちらに伝えてください。セキュリティロックをかけねばならないので。連絡を忘れた場合厳重な処罰がありますのでご注意ください」


 ギルド職員はそう伝えると雪上車に戻っていき、運転席にある通信機でギルド本部と交信する。

 ギルド職員は遺跡に到着すると定時連絡をする義務があり、遺跡に向かう途中行方不明になっていないか確認することになっている。


 過去に移動中ミュータントや雪賊の襲撃、同乗した雪豹が職員を襲って雪上車を盗む事件が起きたことによって義務付けられた。


「報告します。気象台より、ブリザードの発生を確認。約6時間後にこのエリアを包むそうです。帰還報告を受けても時間帯によっては迎えをよこすことができません」

「あいよ、遺跡で数日過ごせるぐらいの準備はしているよ」


 交信を終えたギルド職員が戻ってくるとブリザードが遠くで発生していることを伝えてくる。

 ターカーは遺跡で数日過ごせるだけの準備はしていると言って背負った背嚢を叩く。


「よし、お前ら聞いたな! ブリザードが来るから探索時間に気を付けろ」

「ターカー隊長提案があります」


 ターカーがブリザードが来ると伝えるとリディが手を上げてる。


「よしリディ、発言を許可する」

「私たち五人と、隊長とその男性のペア、2チームで探索を提案します。私たち五人はチームで動けますが、そこの男性が足を引っ張って探索に時間がかかってブリザードに巻き込まれてはたまりませんので」


 リディは発言を許可されると二手に分かれることを提案する。

 お互い自己紹介したにも関わらず、リディはミオンを名前で呼ばず、男性と性別で呼ぶ。


「それに、隊長は言いましたよね。文句があるなら実力を証明しろと。男性とチームを組む必要がない事証明しますので。ねえ、皆!」

「リディに賛成」

「同じく」

「私もどちらかというと賛成かな。ミオンの動きわからないし」

「ええっと……その……」


 リディが同意を求めるように残りの4人の方に顔を向ける。

 イザベラはチラチラとターカーの反応を窺うように視線を向けて、ニナ、ニノ、キャサリンはリディに同意見だと頷く。


「はぁ……そうかい。まあ、実力を見せろと言ったのもあたしだしね……二手に分かれるけど、自己責任であること忘れるんじゃないよ!」


 ターカーはため息をつき、リディの提案を飲む。


「そういうわけでミオンはあたしとペアで探索してもらう。いいかい?」

「はいっ! ご指導よろしくお願いします!!」

「あいつらもこれぐらい素直だったらなあ……」


 ターカーはミオンの方に振り向き、ペアを組むと伝える。

 ミオンは元気な声で返事をすると、ターカーは五人組の方をちらりと見て、ボヤキを呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る