第18話 顔合わせ


「準備はOKかな?」

『現段階で揃えられる装備は全て所持しました。問題ありません』


 遺跡潜りの準備を終えたミオンは再度装備を確認して、ナビィに問題ないか確認してもらい、待ち合わせの雪豹ギルドへと向かう。


「よお、ミオン! こっちだ!」


 ギルドへ向かうとボディアーマーと防寒具を合体させた防具を着用し、軽機関銃を片手で持って手を振るターカーの姿があった。


「先輩、男性が来るって聞いてないんですけど」


 ターカーの傍には女性用防寒具を着込んだ五人組がいて、そのうちの一人がミオンを指差して男性が来るとは聞いてないとターカーに文句を言う。


「あん? 追加で一人来るとは伝えたぞ。性別を聞かなかったのは、お前のミスだ」

「ゴールデンバックは女性だけの雪豹チームじゃないですか! 男性が来るなんて予

想できません!!」


 防寒具のマスクで目元以外表情は見えないが、ターカーはからかうように笑っており、女性の方は目くじらを立てて怒っている。


「リディ、ゴールデンバックは女性の雪豹が多いだけで、別に女性限定の———」

「イザベラは黙ってて!!」

「っ!? ごっ、ごめん……」


 ターカーに怒鳴るリディ呼ばれた女性におずおずといった感じでメンバーの一人、イザベラという女性が声をかけるが、怒鳴られて俯くように黙り込んでしまう。

 残りの三人はとばっちりを食いたくないのか興味がないのか、無関係を装っている。


「あたしも新人だった時は同じことがあって、あんたと同じこと思ったさ」

「だったら———」


 ターカーはリディの気持ちが分かるというように自分の新人時代の事を話す。

 リディはターカーが自分と同じ意見だと思い込み、ミオンを追い出そうと口を開くが、ターカーがリディの胸ぐら掴んでお互いの額が触れるほどの距離まで顔を近づけて睨む。


「リディ、お前は今後他のチームとの合同で探索等仕事する度に男がいるのは嫌ですなんて言うのか? それが通用すると?」

「それは……その……」


 ターカーにすごまれてリディは視線をそらして口ごもる。


「雪豹の世界ってのは、男や女なんて性別なんてどうでもいいんだよ。雪豹ってのは実力社会。文句があるなら、文句が言えるだけの実力示しな! 話はそれからだ!」

「きゃっ!?」


 ターカーはそう言ってリディを突き飛ばす。

 リディは尻もちをつき、残りのメンバーが寄り添う。


「わるいね。今回あんたを誘った理由の一つはこれだったのさ」

「そうだったんですか」


 ターカーが軽く謝罪し、ミオンは苦笑する。

 突き飛ばされたリディは立ち上がり、ミオンを睨みながらお尻についた雪を払っている。


「全員装備点検を終えたら出発だよ!」


 ターカーは雪上車のドアを叩きながら叫んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る