第17話 前準備


 ゴールデンバックのチームメンバーであるターカーから遺跡探索に誘われたミオンは翌日、ギルドショップへと向かっていた。


「いらっしゃい、雪豹のライセンスを提示してくれ」

「Hランクで遺跡探索に必要な装備ってわかりますか?」


 ミオンはライセンスを提示し、遺跡潜りに必要な装備を店員に聞く。


「遺跡に潜るのか? 潜る遺跡のランクは?」

「えーっとHランクです」


 店員はライセンスを確認しながら潜る予定の遺跡のランクを聞く。


「んーHランクの遺跡だと強いて言えば、対ミュータント、対警備ロボ対策の武器だな」

「このウルフジュニアじゃダメですか?」


 店員が武器を勧めてくると、ミオンはホルスターに収納している銃を見せる。


「9mmも悪くないが……ミュータントの中には9mmぐらいなら弾ける皮膚持ってたりするからな。銃の扱いは得意な方か?」

「最近銃を持って試射したぐらい」


 店員が銃の腕前を聞いてくれば、ミオンは素直に答える。

 店員はミオンを足のつま先から頭のてっぺんまで値踏みするようにじろじろと見る。


「ふーむ……あまり筋肉はないからオートマチックは危ないな。ならこいつだ。イカザM37、命中精度を上げたロングバレルタイプ」


 そういって店員は壁に飾られていたポンプアクション式の銃身の長いショットガンをカウンターに置く。


「対ミュータント用に9ゲージ、フェザーライト仕様で重量は2kg切ってるから取り回しも楽だ。持ってみろ」

「うわっ! 軽い!!」


 店員に手渡されて持ってみると、あまりの軽さにミオンが驚いた声で声を漏らす。


「試射していくならこの値段で売るぞ」

「返済が遠のくけど、命には代えられないし……買います」


 値段を提示されれば、買えないことのない値段。

 借金があるとはいえ、ゴールデンバックとの返済計画は利子や返済時期も特に決めていないのでミオンの良心以外問題はない。


「あとは電気を意図的にショートさせる道具だな。基本遺跡のシステムも警備も機械だからな。Hランクなら対策されてる場所も少ないし、持っていて損はない」

『マスター、そちらに関しては私がいれば不要です』


 店員は遺跡の電気器具をショートさせるツールをいくつか紹介してくるが、ナビィがいらないと言ってくる。


「えーっと、予算的に……」

「そっか、あとは予備弾薬、食料、予備のサーモモーターだな。自分が持ち運べる荷物の量と相談して買えばいい」


 ミオンが予算的にきついというと、店員は電子ツールを元に戻して食料や予備のサーモモーターを出してくる。


「サーモモーターはください!」

「毎度あり!」


 遺跡に落ちてサーマルエナジーが尽きかけたことがあったので、ミオンは予備のモーターを買うことにした。


(食費削らないと……いつになったら借金返せるやら……はぁ……)


 軽くなった財布を見て、ミオンは軽くため息をついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る