第14話 帰還


「リーダー、確認取れました。この子はHランクの雪豹ミオン本人で間違いないです。記録上ではMIAになっていましたが」


 フロストシティに到着して約1時間。

 ミオンの身元の確認が取れたのか、ゴールデンバックのメンバーの一人が報告に来る。


「あんたの身元は確認取れたよ。疑って悪かったな」

「いやまあ、仕方ないですよ……」


 疑いが晴れたことでミオンはほっとする。

 銃を構えていた雪豹たちも報告を聞いて警戒を解いた。


「疑いも晴れたし、はい」

「え? これ……何ですか?」


 ゴールデンバックのリーダーが笑顔でミオンにクリップボードを手渡す。

 クリップボードには輸送費やら暖房費、救出代金と称した料金の請求書が書かれていた。


「ん? ミオンは字が読めないのかい? 今回の救出及び、フロストシティ迄の輸送代金だよ」

「おっ、お金とるんですかっ!? 僕はHランクなりたての雪豹ですよっ!? 払えませんよっ!!」


 リーダーはにっこり笑いながら今回の料金算出方法などを説明してくる。

 ミオンは真っ青を超えて死人のような顔色でお金がない払えないと言い訳する。


「なーに、一括で返せなんて言わないさ。体で払ってもらえばいいさ」

「体?」


 リーダーは肉食動物が獲物を見つけたような笑みを浮かべて体で払えというが、ミオンは体で払えという言葉の意味が解らなかったのか、きょとんとした顔で聞き返す。


「リーダー、すべってるし」

「うっさい!」


 周囲にいた雪豹たちはリーダーのネタがすべったことに噴き出し、リーダーが睨んで黙らせる。


「あー……ごほん、うちの仕事手伝って返せってことだよ」

「お仕事ですか……と言っても何ができるか……」


 毒気を抜かれた表情でリーダーが体で払う意味を説明し、ミオンは不安そうに答える。


「お前、工事用のライドメタル持ってるだろ? あれで荷物の搬入とかやってほしいだけだよ。無論給料も出すし、食事も出す。返済は給料から無理のない範囲で返してくれたらいい」

「えーっと……男性はチームに入れないんじゃ?」


 リーダーから仕事内容を聞くと、ミオンはおずおずと手を上げて質問する。


「うんにゃ、別にうちのチーム男子禁制じゃないぞ。男女比率が1:9なだけなのと、初期メンバーが女性だけだったせいで、皆が勝手にそう思っているだけだぞ。おかげで男手が必要な作業とか大変でさあ」


 リーダーは困っているんだよねえと愚痴る様にぼやき、周囲にいる女性の雪豹たちも同意するようにうんうんと頷く。


「えーっと……頑張りますので、よろしくお願いします?」

「んざ、さっそく荷物の積み下ろし頼むな!」


 なし崩しにミオンはAランクの雪豹チーム【ゴールデンバック】で働くことになった。

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