第13話 Aランク雪豹チーム【ゴールデンバック】


 ミオンは今、Aランク雪豹チーム【ゴールデンバック】のトレーラーカーゴの中にいる。

雪原で誰某を受けたミオンは事情を話すと保護と言う名目で拘束された。


(落ち着かないなあ……ナビィは大丈夫かな?)


 周囲を見回せば銃を持った女性達が見張っており、少しでも怪しい素振りをすれば警告なしに撃つとミオンは脅されていた。


 ミオンはこのカーゴエリアに案内される前に武器と防寒具、そしてナビィがインストールされているPDAを没収され、ナビィとコンタクトが取れない状況だった。


「もう一度聞くよ。名前と所属は?」

「ミオンです。所属はフロストシティ、Hランクの雪豹です」


 現在事情聴取を受けており、何度目かわからない同じ質問を受けていた。


「何度も悪いね。こいつを飲んで一息つきなよ」

「ありがとうございます」


 事情聴取をしていた赤髪に眼帯、顔の真ん中に切り傷痕がある女性がホットミルクが入ったコップをミオンに渡してくる。


「しっかし、ミオンって言ったっけ? 雪堀で不発弾の爆発でスリープ状態だった警備ロボが起動して逃げる最中に雪に埋もれた遺跡に落ちるなんて、災難だったね」


 眼帯の女性はケラケラと笑いながら、ポケットから煙草を取り出すと口に咥える。


「リーダー、カーゴ内は禁煙ですよ」

「ったく、うるせえなあ……咥えるぐらいいいだろう?」


 眼帯の女性の傍にいた髪をアップに纏めた眼鏡の女性が咳払いをして禁煙だと注意する。


「まあでもぉ~、落ちた遺跡で工業用とはいえライドメタル当てるしぃ~、こうやってうちらに拾われるからぁ~、逆に幸運って感じぃ~?」


 間延びした口調で喋りかけてくるのは褐色肌に金髪ショートカットのギャル風の女性。


「確かに幸運ですね。まさか有名なAランクの雪豹チーム【ゴールデンバック】に保護してもらえたんですから」

「あたいらってそんなに有名だっけ?」

「有名なんてものじゃありませんよっ! 三年前の無人兵器のスタンピート防衛! プラントの発見! 他にも———」


 ミオンは興奮した様子でゴールデンバックの逸話を言っていく。

 Aランクチーム【ゴールデンバック】は黄金の牡鹿のエンブレムとは裏腹に女性だけの雪豹チームで、数多くの功績を上げてAランクにのし上がった、雪豹ドリームの体現者であり、雪豹に憧れる子供たちの目標の一つでもある。


『リーダー、フロストシティに到着です』


 ミオンがゴールデンバックの凄さを語っていると、館内放送がフロストシティに到着したことを知らせてくる。


「おっと、お喋りはここで終了。ミオン、悪いけど身元確認が取れるまでは大人しくしときなよ。メンバーの中にはお前が雪賊じゃないかって未だに疑ってる奴もいるからな」

「はっ……はいっ!!」


 リーダーと呼ばれた眼帯の女性は笑みを浮かべながらも威圧を込めて大人しくしろとミオンに伝える。

 ミオンは心臓を鷲掴みされたような感覚で返事を振り絞った。

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