第6話 売却


「えーっと……ナビィ、一体何をやったんだ?」

『あそこの車両の銃座をちょっとお借りしました』


 二人組が逃げ去った後、ミオンはナビィに何をやった声をかける。

 ナビィは画面越しに指差し、ミオンはナビィの指さす方向を見ると、別の雪豹グループが雪の中から掘り当てた戦闘車両がった。


 銃座の銃がミオン達がいる方向を向いており、掘り当てたチームが腰を抜かしていたり、スコップで車両を突いたりしている。

 向こうのチームからすれば掘り当てた車両がいきなり暴発したように見えただろう。


「そろそろ時間だな」


 時刻は夕方の四時半過ぎ、五時には撤収することになっており、集合時間に間に合わないと雪原のど真ん中に放置されるので、よほどのことがない限り雪豹達は遅刻することはない。


 輸送用のトレーラーに乗り込めば戦利品を当てた者、坊主だった者と反応はそれぞれだった。


「あ!」

「げっ!」


 トレーラー内に固定ベンチを設置しただけのエリアで昼間絡んできた二人組と目が合うと、二人組は目をそらして離れた場所へ向かう。

 都市郊外が無法とはいえ、トレーラー内でのトラブルはご法度で、喧嘩なんてすれば問答無用で外に投げ出されるか銃殺が待っている。


 二人組もそれが分かっているのか、視線をそらしてトラブルを避けるように遠くの人ごみに紛れ、見えなくなった。


「ほう、結構当ててきたな」

「運が良かったよ」


 都市に戻るとギルドの換金所に掘り出したジャンク品を売る。

 ジャンク品を鑑定するギルド職員の老人がそう言って、ナビィに言われて最初に掘り出したロボットをまじまじと鑑定する。


「運も実力のうちだ。特にこのロボットは外部損傷も少ない。期待していいぞ」

「やったぜ!」


 ミオンは掘り当てた戦利品を全て売ると雪豹ギルドを後にする。


「輸送費とサーマルエナジーのチャージ代抜いても一週間は三食付きで暮らせるな~……いや、今日くらいちょっと贅沢してもいいかな?」

『マスター、提案があります』


 ミオンは今日くらいは贅沢しようかと、悩んでいるとナビが提案があるとバイブレーションで声をかけてくる。


「提案って?」

『まずは装備の充実を図りましょう。正規品のスコップ、いまよりも熱効率のいい防寒具、そして何よりも自衛のための武器が必要です』


 ナビィは眼鏡にスーツという女経営者風の姿になって、今後の計画を円グラフや棒グラフなどを使い、今後のライフプランを提示する。


「またナビィが埋まってる物見つけてくれれば……」

『今後もあの二人組の様なタカリに絡まれますよ。武器を持っているだけでも絡まれる確率は下がると思います』


 ミオンは歯切れ悪く、ナビィに頼って当てればいいといいかけると、ナビィは今日の出来事を出して装備の強化を勧めてくる。


「……そうだね……どんなに一山当てても、その財産を守れなかったら意味ないもんね」

『ご理解いただけて幸いです』


 ミオンは孤児院時代、力の強い奴や体格のでかいやつにいじめられたり、食事を奪われたことがある。

 孤児院を出て、雪豹になってまた同じ目にあいたくないと、ナビィの言うように装備の充実を図ることにした。

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