第5話 ナビィの力
「作戦目的と言われても……」
『堅苦しかったですかね? ではマスターの叶えたい願いはないですか?』
「願い……とりあえず今は雪堀で一発当てて生活を安定させたい」
願いはないかとナビィに言われて、ミオンは少し考えると雪豹としての生活の安定を求めた。
『雪堀とは何ですか?』
「雪堀というのは……」
ミオンは今の境遇と雪を掘って埋まってる物を掘り出して売る作業をしていることを説明する。
『なるほど、2秒ほどお時間いただきます。プランができました』
「はやっ!?」
『私の性能になりますと処理能力も違いますから。マスターの装備で掘れるエリアを算出しました』
画面が変わり、自分が経っている場所から少しずれた場所に何かが埋まっていることを知らせるマークがついている。
『おおよそ、30分の作業で掘り当てられる計算です』
「まあ、やみくもに掘るよりはマシか」
ミオンは騙されたと思って、マークのついたポイントを掘る。
体感で30分ほど掘ると、子供サイズの人型ロボットを一体掘り当てた。
「本当に出たよ……」
『私の性能ご理解いただけましたか?』
ミオンが画面を見ればナビィは胸を張ってドヤ顔している。
「本当にすごいよ、ナビィ! こいつを売れば最低でも一週間は暮らせる!」
『周囲に金属反応があるので掘り続けてください』
ミオンは言われるままに掘り続け、こまごまとしたものを掘り当てていく。
「へえ、結構当ててるじゃん、お兄さん」
「ちょっと不発の俺らに恵んでくれないかな?」
そうやって掘り当てていると声をかけてくる二人組がいた。
防寒マスクで表情はわからないが、友好的な表情ではないだろうなとミオンは思った。
「これは俺が掘り当てたものだ。なぜやらないといけない」
「そういうなよ。ここは助け合いだと思ってよ」
「なあ、怪我したくないだろう? ここは平和的に行こうじゃねえか」
ミオンはシャベルを構えて威嚇するように言うが、二人組は意に介した様子もなく、ナイフを抜く。
『マスター、法律はどうなっていますか?』
「だれだっ!? どこにいやがる!?」
ナビィが話しかけると、二人組が狼狽したように周囲を見回す。
「都市の外は全て自己責任。殺しても、殺されても誰も文句も言わないし、犯罪じゃない」
『警告します。私は遠くから貴方達を狙っています』
ミオンの答えを聞いたナビィは二人組に聞こえるように警告する。
「へっ……はっ、ハッタリだ———」
二人組の片割れがハッタリだと言い切る前に男の足元に銃弾が飛んできたように雪が跳ねる。
「ひっ!?」
『次は当てます』
男は腰を抜かしたように尻もちをつく。
ナビィがドスのきいた声で次は当てると警告する。
「すっ! すいませんでしたあああ!!」
「おっ、おい! おいていくなよっ!?」
二人組の片割れがそう叫んで一目散に逃げていく。
腰を抜かした方も這いながら相方を追いかけるように逃げて行った。
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