第19話 引っ越す前の行き倒れ美少女〜一年生〜《一葉視点》
高校入学から一週間経った頃、クラス内でいくつかのグループが出来上がっていった。
女子オンリー、男子オンリー、オタグループ色々。
私にも一応グループがあった二人だけの。
あとは告白も生まれ始めてた。
でも、私の場合は入学から3日目から絶えなかった。
一人一人違う場所でホームルーム前の合間、昼休み、放課後、ホームルームだけで平均二回告白を受けた。
まあ、全部一目惚れだけど。
だから、全ての告白を蹴っていった。
それが3日も続いたら憂鬱になっても可笑しくないよね。
「おはよう、いっちー、昨日と朝から告白されたの?」
学校初日偶然隣で気があって仲良くなって、二人だけのグループの女の子の友達が突っ伏っているのを心配して挨拶込みで声をかけてくれた。
名前は
「うん。私は告白されたくて朝早く来てるんじゃない、私の時間を返せぇ、って訴えたい」
「それを言わないいっちーは優しいね。きっと、その内減るよ」
「……う、うん」
1ヶ月、また1ヶ月と続いて3ヶ月。
朝は無くなったけど、昼と放課後は変わらなず続いた。でも回数は昼一回、放課後一回になった。
このまま明ちゃんの言うとおり無くなれば良かった。でも、実際そうならないのを私は知ってた。
3ヶ月経つとどうなるのかも。
ごめん、これだけは正直言いたくない。
簡単に説明すると嫉妬からくる陰険なやり口。そして、それがクラスの外に漏れる事のない、とても…とても嫌な。
明ちゃんは先生に報告するのを提案した。それで解決するなら最初からしてる。
というかもうしてた。
でも、先生なんてあてにならない。
やって注意程度。特定しようなんてしない。
それを言ったら明ちゃんが私が探すと言い出した。
私は止めた。
当然だよ。そんな事したら明ちゃんにも刃が向くから。
それに私は慣れてる。
中学の時も同じことがあった。
その時も陰険なやり口のものを受けてた。こっちの場合、同じ小学生から上がってきた同級生もいたから尚ね。
私は引きこもりたかった。
でも、家族に迷惑をかけるのは嫌だった。
妹は別の中学校だから余計に心配をかけたくなくて。
だから、我慢して、我慢して、我慢して、我慢して、我慢して………同じ中学の人がいない高校を選んだ。
新しく出来るかもなんて淡い期待を少し抱いて。
結局駄目だった。
明ちゃんっていう味方がいたけど迷惑をかけるだけだった。
今回も我慢した。
それからまた二ヶ月経った日。
事情を知らない男子に告白を受けた。
辛いだけの告白。
それでも私は蹴った。
でも、それが最悪だった。
その人はラブコメ漫画、小説とかでご定番のイケメン人気の先輩じゃなかったけど、イケメンだったけど。隠れたイケメン。
その人はなんて言ったと思う?
『告白していきなり襲われた。その後好みじゃないからって捨てられた』だってさ。
それが引き金になって過激となった。そして、ついに明ちゃんが私を庇ってしまった。
それを知ったのは次の日に明ちゃんのボロボロ姿を見たからだった。
私が私が許せなかった。
中学と変わらないものだったから我慢した。でも、一つ違うのは明ちゃんという味方がいたこと。
我慢したから明ちゃんが傷ついた、我慢しなければ、関わろうとしなければ、一人で立ち向かっていれば。
でも、立ち向かうなんて事私はできない。
心が弱かったから。
弱かったから、無意識に責めに責めて、私は知らずに心を閉じた。
こうして、私は引きこもる事になった。
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