第13話いらっしゃいませ。行き倒れ美少女と…泊まり!?夜・お泊まり編その5

「あのさ一葉。学校で友達っているよな?」

「むむ、いるよ女子友くらい」

「ごめん。じゃあ今日誘われなかったのか?」

「されたよ」

「なのに今日、遊ぼうとか思わなかったのか?」

「怒るよ文くん」


 一葉はベッドから下りて隣に座る。

 同時に何で!?と俺は戸惑った。

 学校では避けてる俺が言うのはお門違いだろう。でも、転校して早々友達が出来たのなら放課後とか今日だって遊んでも良いはずだ。


「学校の友達は校内でもしゃべったり遊んだり出来るけど、文くんとは喫茶店とここでしか過ごせないんだよ」

「………あのさ一葉。もし俺が、同じ学校だって言ったらどうする?」


 何でここでそんな質問したの?と問われれば分からない。多分他の友達と遊べたはずの時間を奪ってる事が嫌だったんだと思う。


 でも、これは早々に気づけたはずだ。気付こうとしなかった気づきたくなかった。隠して今更同じ学校です、と言って関係が終わりそうで怖い。


「どうもしないよ。だって知ってるもん」


 予想外の言葉が返ってきた。


「……へ?…い、いつから?」

「んー……転校翌日?」

「一葉の様子見に行った最初だそれ!」

「そうなの?声かけようと思ったけど、クラスの皆が中々解放してくれなくて放課後聞こうと思ったけど、知らないふりしてたから理由あるんだろうなぁって」


 すいません。めちゃくちゃちっぽけな理由です。

 つまり、一葉は最初から知ってて放課後、喫茶店に来てくれてるの。


 何それ。めちゃくちゃ嬉しい。


「理由ちっぽけだよ。学校生活穏やかに過ごしたいっていう…ごめんな、それで一葉が他の友達と過ごす時間取った」

「ほ?何を言っておるのかね?そんな事思うのは、美少女を親友に持ったら当たり前じゃないかね」

「そう、か?」

「そうだよ。それに知ってて選んだ事、私は後悔してないよ。寧ろ誇りたまえよ」


 と言って立ち上がったネコさんパジャマの一葉、ネコ葉は悠々と胸を張る。


「だから、これからも放課後一緒に過ごしてね」

「…勿論。ありがとう一葉。怖かったのかもしれない。今更言って関係が終わるのが」

「えええ、親友なのに信頼ゼロなの私」

「まだ一週間だぞ……でも不思議と信頼してる。でも、だからだよ。信頼を裏切る事になるから」

「天誅!」


 両手で俺の頬をパジャマの肉球でぷにんと挟む。


「いちふぁなにふぉ」

「私の事思ってくれてるのは分かる。でも私達は…親友。信頼はまだまだ深く厚くなる。だから頑張ろ、ね」


 一葉の言葉に感嘆していると、一葉は優しく俺に微笑みかけた。


「よろしく、親友」

「おうともさ」

「そこでだ、親友って言う前、何で少し間が空いたんだ?」

「え!?そ、それは………だから」

口籠くちごもってわからなかった。ごめんもう一回」

「だ、だからぁ…………だから」


 だからしか分からねぇ。

 俺の耳が悪いのか?まさかもう老化が。

 って、んな訳あるか。

 まあ、無理に聞くこともないか。


「分かった。一葉が言いたくなったら言ってくれ」

「い、良いの?」

「これも信頼のひとつだろ」

「……いつかね」

「ん。あと今日は色々本当にごめん」

「次は対価は貰うからね。ご飯で一回分」

「ほーい」


「伸ばさない、あとはいでしょ」

「どこのオカンだよ!」

「えええ、そこはせめてお姉ちゃんで」

「こんな美少女姉がいたら俺の精神持たねぇわ!」

「なんだとぉ!もふうさ&肉球パンチ」


 片はもふっとしたもふうさと、片はぷにっとしパジャマ肉球が俺の顔面に放たれた。


 気持ちよすぎて、天界にめされそうだ。

 しかも、パジャマから良い香りがする。

 いっそのことめされようかなぁ。


 何を言ってるんだ?危ない。頭可笑しくなる。


「もっとやって来れ」

「ご褒美でしかないだと!?」

「違う違う、いや、違わないが違う!」

「どっち!?」


「違うで。そうだ日常系アニメ見よう、トモダチカラ向上させるんだ」

「えええ、それならゲームしたい」

「そ、そうか?ならゲームにするか」


「witch持ってきたからやろ」

「抜け目がないな」

「ふふん、備えあれば憂いなし」

「ならば、通信プレイだ」


 それから俺達は気づかぬうちに明け方までゲームをしていた。


 追伸

 今日一葉と泊まれて良かった。

 ありがとうの言葉しかない。

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