第14話いらっしゃいませ。行き倒れ美少女は今日もお手伝い。
「明かしたな」
「明かしたね」
「やりまくったな」
「やりまくったね」
「何時間やった?」
「今…5時だから9時間」
一葉が俺の部屋で宿泊することになった。
それからゲームをすることになってプレイしていたのだが、いつの間にか日を越していて、今二人とも睡魔に襲われていた。
俺はあくびをする。
「あはは〜文くんあくび大きいぃ〜」
「一葉だって目の充血がすごいぞ」
「ふみゅ…じゃ〜あ、文くんにぃ幻術掛けてねむねむしてもらいまぁす」
「ねむねむできるなら、やれるもんならやってみろぉ」
ヤバい。お互い眠たすぎて変なテンションでついついノリに乗ってしまった。
………どうにかしないとなぁ。
「えへへ、つかまえたぁ…」
囁き、一葉は肉球さんで挟み込む。
そのままとろんとした瞳で見つめ「ねむねむ〜ねむねむ」と謎の呪文を唱え始めた。
「ねむねむなったぁ…?」
「いやぁ〜ならん……」
「む〜〜ベッドに寝てぇ」
ぺちんぺちんとベッドを叩く。
一周回って頭の方がちょっと覚めてきた。
とはいえベッドに寝るとまた睡魔が来そうに眠たい。
そういえば、一葉って意表つかれるの弱いよな。
「なら、一葉もベッドに来るか」
「………ほ!?そそ、それって一緒に…ねるって」
「あれぇ?俺にはそう聞こえたけどぉ?」
「も、もういい!!」
頬を真っ赤にして膨らませて、プイッとそっぽ向いた。
「目、覚めたか?」
「う、うん、ちょっと……うぅぅ〜」
一葉はさっきまでのテンション行動が恥ずかしくなったみたいで顔を手で隠す。
そんな一葉に俺は言った。
「一葉、寝るか?」
「寝る、寝る寝る」
俺は宿泊用の布団を敷いて、俺はそっちで寝ることにした。
「文くん本当に使っていいの?私もベッドの方が慣れ親しんでるけど」
「ああ、ぐっすり寝てくれていいよ。それとも一緒に…」
「おやすみ!…………文くんの匂いがする」
「…そ、そういう事はもうちょっと聞こえないようにしてくれ」
「……」
「…一葉?」
見てみると小さな寝息をたてて、すやすやと眠っていた。
どのくらいだろうか。
眠気も忘れて俺は一葉を見ていた。
そして、いつの間にか俺も眠っていて、起きたのはその2時間後だった。
何故たった2時間で起きたのかというと開店の準備のために体が出来上がっているから。
「むにゃ…」
気持ち良さそうに寝ているネコ葉さんを起こさないように部屋を出て、控え室で店の制服に着替た。
「おはよう親父」
「文、おはよう。ピザ美味かったぞ」
「そりゃ良かった」
それから本棚の整頓、椅子をテーブルから下ろしたり店の準備を終わらせた。
シャッターを開けるため外に出た。
「そういえば日曜日に一葉と出会ったんだよな」
行き倒れた一葉の姿を倒れていた路上を見て思い浮かべながらクスクスと微笑した。
その後、シャッターを開け、換気込みで扉を少し開けた。
「文、朝ご飯は食べたのか?」
「あ、まだ……いや、まさか」
「どうした?」
「いや、なんでも」
起きたときぐっすり寝てたし大丈夫だよな。
俺は家に戻ってキッチンでサンドイッチを作ってさっと済ませた。
そういえば可愛い寝顔だった。
時計を見るとまだ開店まで40分以上あった。
「……はぁ、見に行ってみよ」
一葉の分のサンドイッチ作ったから確認に行くだけだ。起きてたら一石二鳥だからな。
ちなみに
店に戻らず、そのまま二階の自分の部屋に向かった。
扉の前に着いた俺はドアノブをゆっくりひねって、ゆっくり扉を開けた。
寝起きドッキリみたいでワクワクしてきた。
「おはようございまーす」
えー今は俺は泊まりに来ている親友の美少女高校生佐倉一葉の寝ているベッド前におります。
寝ている一葉さんのパジャマはネコさんパジャマ。なんとも可愛らしく、ネコのように丸まって、今気持ち良さそうに寝ております。
ちょっとくらいなら良いよなとついイタズラ心が働き一葉の小さな鼻を摘まんでみます。
すると、「うにゃっ」と声を漏らした。
よし、ただの杞憂だった、戻ろう。
扉に向かおうとした瞬間クッと引っ張られた。
一葉がシャツの裾をつまんでいたのだ。
「ふみ……」
あ…いや。これは、あれだ。名前と思っていたら実は○○というオチのやつ。
でも、漫画じゃあるまいし。
「ふみくん……」
オチじゃなかった。
ここまで来たら最後まで知りたい。決して嬉しいからではない。
「ふ…」
「うん」
「ふみくん、ピザになって美味そうな匂い漂わせないでよぉ」
「反応に困るわ!」
「いったぁい!」
ついツッコミで叩いてしまい、目を覚まして勢い良く起き上がった一葉はぷくぅと不機嫌顔で睨む。
「ひどい、ひどいよ文くん。せっかくいい夢見てたのに」
「ピザになった俺で食欲そそるからだ」
「だってぇ(きゅるるる〜)お腹……空っぽ、だもん」
へにゃりとベッドに倒れ込んだ。
目の前で行き倒れられた。
「朝飯作ってるか…」
「本当!」
目をキラキラ輝かせて一葉は手だけを伸ばして俺の手を握る。
さっきまでのお怒りは何処に行った?
「行くか」
「ん…お姫様抱っこ」
「良いのか?」
「二度は…言わないにゃ」
突然のにゃんはズルい。
「……仰せのままにネコ姫様」
「にゃぁ〜ん」
行き倒れネコ、ネコ葉をお姫様抱っこして
リビングまでつれていき椅子に座らせて、直ぐにテーブルにサンドイッチを出した。
「ほい」
「!…いただきます!」
サンドイッチを頬張る。
「カリカリに焼かれたベーコンにしゃきしゃきレタス、甘酸っぱトマト美味しい、そして、それを挟むふわふわなパン最高だよ!」
今日も美味しそうに食べていく。
「じゃあ食べ終わったら皿はシンクに置いといてくれ」
「仕事?……私も」
「今日はゆっくりしてて良いぞ」
「遠足は帰るまでにゃ」
一宿一飯の恩も帰るまでと言いたいわけね。
「……文くん、にゃめ?」
うるうると小動物のような瞳で見つめる。
「構わないけど、お昼には帰れよ」
「にゃあああ〜」
「えええ〜じゃない」
「さにゃっと略された!」
「ふ、それくらいは分かるよネコ姫」
「まさか伝説のネコマスター!?」
「の弟子!」
「にゃんと!?」
「とにかく、働いてくれるなら、もうすぐ開店」
「ヨーソロ。では、ごちそうさま」
いつの間に。
ともかく今日も引き続き、一葉が店を手伝ってくれることになった。
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