第7話 いらっしゃいませ。行き倒れ美少女と…お泊まり!?朝編
今日は土曜日。学校がお休みの日で俺も朝の開店準備をしていた時だった。
扉を開けて、水色と白のワンピースを着た一葉が現れ入ってきた。
「文くん、私と一夜明かさない?」
「店間違えてますよ」
「そっか、すいません…て、ならないよ!」
踵を返して店を出ようとしたが、くるっと店の方に戻ってきた。
ちっ、あとちょっとだったのに逃げられなかった。
一葉は開店準備する俺の方へとぷくぅと頬を膨らませて近付いてくる。さっきの発言に不安しか感じないぞ。突然過ぎて親父皿落としたからな!
「文くん、私達親友だよね」
「まだ日は浅いけど、親友だな」
「じゃあ一言余計だけど良いじゃん!」
「変に混ざってるからちゃんと説明してくれ」
一葉の説明をざっくり要約すると、今日は学生特権の休日だから1日話して遊び明かさない?という事らしい。
「はぁ…紛らわしい」
「ん〜?何が紛らわしいのかにゃ〜?」
ニヤニヤと悪戯な笑みをしながら「うりうり〜」と肘でつついてくる。
むかつく!でも表情が可愛くてズルい。
「そ、それで何で1日費やして話したいんだよ?」
「文くん今日は何曜日」
「はぐらかすな」
「はぐらかしてないもん、ちゃんと意味あるもん!」
「ごめん…今日は土曜日だ」
「だよね。じゃあネクストデイは?」
「ちょっと待て、まさか泊まろうていうんじゃないよな」
「イエスオフコース!with文ルーム!」
「断る!」
「泊まる!」
「駄目だ!」
「泊ーまーるーのぉー!」
「駄目だぁー!」
なんだこれ。もう小さい子どもがやいやいと駄々ってる様にしか見えん。
それが暫く続いた後、一葉は小さく唸り始めた。
「ぅぅぅ…私だって…だってぇ〜」
一葉は目と口をきゅっとさせてぷるぷる震え始めた。
その顔は真っ赤。
今一葉は勇気を出しまくって今言ってるわけか。『いつも』を装って。
「泊まりたいのは分かった」
「じゃあ」
「でもなぁ」
いくら友達でも男女が一つ同じ部屋で泊まるというのは世間的に許されないだろ。なんて思っていたら。
「良いじゃないか、泊まってもらえば」
俺の親父が一葉の宿泊をあっさり了承しやがった。俺の部屋だぞ。
男って自覚なくても狼らしいんだぞ。
更に一葉は襲ってしまいかねないレベルの美少女だ。
「文くんは私といるの…好き…?」
「!!」
嫌じゃなくて、何故か好きと聞いてきた。
これ否定したら嫌い宣言したことになるよな。
否定しないけどさ。出来ない状況じゃねぇか。
しかも一葉はそれを分かってやってるだろ。
「はぁ…分かったよ」
「そこはもうちょっと喜ぶところじゃないかなかな?美少女と同じ部屋で一夜を過ごせるんだよ」
「だからなんで誤解招くような言葉チョイスするんだよ!?」
「してないよ〜文くんがやらしいだけだよ〜」
「本当に襲ったろか」
「きゃー文くんに襲われるー」
わいわいと遊びすぎて親父から「準備してくれ」と困り顔で言われ、残りの準備をささっと済ませた。
すまん親父。
というわけで、一葉の宿泊が正式に決定した。
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どうも翔丸です。
次回はお昼の12時です。
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