第6話 いらっしゃいませ。行き倒れ美少女の原因不明のツンツン?

 どうも翔丸です。


 物足りないのではと思い。急遽ストーリーを書かせていただきました。遅くなりすいません。

 楽しんでいただけたらと思います。

 ――――――――――――――――――――


「文くん来たよぉ」

「おお、一葉。今日は大丈夫な感じだな」

「ふふん、私は常に進化するのだよ」


 これはあれだな。昨日は行き倒れ寸前だったろって言ったらふて腐れそうだな。


「文くん、変な事考えてない?」

「考えてない事実を振り返ってただけだからな。まあ、とりあえず座っといてくれ」


 一葉は「気になる」と呟きながら口を尖らせつつ、いつもの席に座る。


「今日はお紅茶だけでよろだよ」

「へいへーい」

「…今日ノリ悪いぞぉ!」


 両腕を上げてぷんぷんと怒りアピールする一葉。可愛いけど。


「そんな事はないと思いたいが、わるい、今ちょい忙しいんだわ」

「そういえば多いね」


 金曜日は登校最終日という事で帰宅部、部活終わりの女子学生が押し寄せるように来店するのだ。聞くと皆一様に今週もお疲れ様デイらしくスイーツを食べに来る。

 その中には一葉…と俺の通う高校の学生はいない。そこまで厳しいわけではないが、聞くところによると生徒会が上手くやっているらしい。

 例外が来てるけど。


「手伝うよ」

「嬉しいけど、大丈夫だ」


 つまんないと言いたげな表情で俺を見つめる。

 そのまま忙しい状況が30分程続いて漸く落ち着いた。

 俺は「ふぅ」と一息吐いた。


「お疲れ様」

「何か…あった?」

「何でも無いですよ」

「怒ってる?」

「別に怒ってないよ」

「じゃあ、何でそんな不機嫌なんだ?」

「知らない、私も知らない!」


 一体何に対して不機嫌になってるんだ。

 考えるが分からない。

 まあ、お互い昨日、友達として自覚して、親友に急進化したまだまだ日の浅い関係ですから分かることの方が皆無に等しいのだけど。

 だからこそ、原因が理解できれば親友としての関係が一歩近づく筈だ。

 めちゃくちゃ怒ってるよな、とは正面から言えるわけもない。


「でも、俺が悪いよな」


 そう言うと、一葉の表情は威圧感を帯びた。


「何でそう思うの?」

「だって入ってきたときは機嫌良かったから。この店で不機嫌な原因って今のところ俺だろ?」

「…多分」

「多分って曖昧だな」


「知らない。でも、イラッとムカッとする」

「わけが分からなくなってきた」

「もう!ちゃんと一緒に考えてよ」


 何かだんだん俺に対して冷たくなってきてない?


「夏目くん、注も…何したの?」


 紅葉さん、それは俺が知りたいですよ。

 でも、一番分からなくて困ってるのは一葉だ。どうにかしてやりたい。


「紅葉さん、注文ってスイーツですか?」

「そう」

「悪いんですけど接客は親父に任せて、作ってくれませんか」

「良いよ。その代わり…」

「分かってます」


 紅葉さんはキッチンに入り自分が受けた注文のスイーツを作って持っていった。

 その際「頑張れ男の子」と渇を入れられた。


「良いよ別に仕事戻っても」

「仕事も大事だ。でも今は一葉の不機嫌の原因の方が大事だ」

「はう…!」


 火が噴いたように一瞬で一葉の顔が真っ赤になった。


「い、いきなり恥ずかしいこと言わないでよ文くん!びっくりしたじゃない!……もうわけ分かんない。イラッとしてたのに今はポッとする」

「確かにわけ分かんないな」

「だよね、だよね。これ何なん……うぅぅぅ」


 グイっと俺の顔の目の前まで近づいたのに気付いた瞬間更に真っ赤になった。

 アニメみたいに湯気でも出るんじゃないか?俺も湯気出そうなくらい顔が熱い。

 でも、一葉の俺への対応が少し戻ったような気がする。今なら。


「一葉、イラッとし始めたのはどの辺りからだ?」

「接客中に呼び止めたお客さんが文くんと会話を始めた時、かな」

「え?なんで…ってそれが分からないんだよな」

「うむ」


「………それってお客さんを相手に会話をしてるのに、一葉の相手をしなかった事に怒ってるんじゃないか?」

「分かんない……でも、そんな感じ…も、しなくもない」


 友達取られたと思っての嫉妬ってことか?何それめちゃんこ可愛いな。

 そうと分かれば、取るべき行動は一つ。


「一葉、今日俺は時間ギリギリまでお前の側にいる」

「え、え?し、仕事は?」

「今は落ち着いてるから本当にヤバい時にフォローに入ればいい」

「で、でも」


 何か急に冷たさが消えたな。

 一応成功なのかもしれない。でも、続けよう。


「気にするな、親友か仕事かを取るなら親友を取る」

「ふ、ふぅんそう」


 再び一葉の態度が冷めた感じになった。

 今どこ間違ったのだろうか。もしかして嘘だと思われてるのか。


「一葉、まだ短いけど、俺はお前が(親友として)大切だ。話すと楽しいし、来ると分かってても待ってる間、めちゃくちゃ寂しい!あと…」

「分かったオーケー十分伝わったよイライラはこの世から消えさったぜ!」

「本当か?」

「本当、リアリー、リアリー。アッ○○ンテもするから」


「お、おう。とりあえず落ち着こう」

「………」

「一葉?」


 直後、一葉は後ろにバタンと倒れた。

 カウンター席の方へ回ると一葉が目を回していた。店に来てるお客様も心配して一葉をみている。

 上半身を起こして、自分の体を支えする。


「一葉大丈夫か」

「…お、落ち着いたら…なんかお腹…空いちゃった」


 新しいパターン!!


「オムライス」

「お、おう」


 急いでご所望のオムライスを作り、出来て渡した瞬間、一葉はペロリと美味そうに平らげた。


「ごちそうさま!」

「もう平気か?」

「ふ、待たしちまったな、親友。私が復活したからにはもう心配はいらねぇ」


 大丈夫そうだな。

 俺はホッと一息吐いた。


「文くん、本当に大事?」

「言ったろ」

「もう一回…お願い」


 もじもじと恥ずかしがりながら囁くように言うこの美少女は何なのでしょうか。

 可愛いにも程があるぞ。

 そう思った瞬間、俺の理性何処か果てに消えた。

 どうなる前に、店内のお客様に対して先に謝っておきます。


 迷惑をお掛けします誠に申し訳ありません。


「大事だ一葉ぁぁぁ!」

「ふみゃぁぁぁっ!!いきなり抱き締めるのは可笑しいよ、文くん、親友の域を越えてない!?それと流石にお客さんの前は恥ずかしいよぉ」

「可笑しくない、越えてない。これは友情を確かめ合うハグだ」

「ぜんぜん聞いてない!?」


 何とか空気は元に戻った。あと、抱き締めてる時、どさくさに胸の感触を少し堪能した。

 何故かバレて、代償対価として、勢いよくビンタとちょっと説教もらったけど。

 安い安い。まだおつりがあるくらいだぜ。

 結局その後、超大盛りのナポリタンとオムライスを作らされた。

 俺の奢りで。それでも安い…と思う。


 何はともあれ戻って良かった。


 追伸。

 店終わり、部屋のベッドで、公衆の面前で堂々と言ったことに羞恥で俺はめちゃくちゃのたうち回った。

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