第5話 いらっしゃいませ。行き倒れ美少女は友達ワードで…
「確か、このくらいだったよな」
俺は時計を見て呟きながらキッチンに向かった。
昨日、一葉が流れで毎日来るという事になった。最初に会った日を除くとそろそろ一葉が来る時間の筈だ。
行き倒れてるけどな。
流石に今日は無いと思いたいけど学校終わってそのまま来るって言ってたし、可能性大だ。
一昨日のメイドは一旦家に戻ったらしいから除くとして、昨日も行き倒れてるから何か心配になってきた。
今日は紅葉さんも来てるし、少し空いてるし外に出てみた。
「え?文くん!」
「よ!一葉」
扉を開けるとすぐ側まで一葉がいた。
一葉は突然扉が開いた事と多分俺が自分の目の前に現れたことで、目をぱちくりさせて驚いて呆然と立っていた。
そのあと、扉の前は邪魔になるから横にはけた。
「文くん何処か行くの?買い出し?」
「いや、そろそろ来る時間かなって思って外に出てみたら予想通りてなだけだ」
「ふぅんへぇ〜」
一葉は意味ありげに声を出してじーっと見てくる。
「本当にそれだけ?」
「それだけ」
「そっかぁ。まさかとは思うけど、行き倒れてるんだろうなぁとか思ってはないよね?」
「ん?違うのか」
「ふっふん、今日は全然大丈夫…って言いたいけど」
「はは、駄目なんだな」
「ふみゅ、今日もお願いします。それより思ったんだぁ」
ぺちぺちと叩かれながら一葉をおぶって店に入った。胸が背中に当たってヤバかったけど。
俺は一葉を定位置として確定しつつあるカウンター席の一つに座らせて料理を作り、一葉は待っている。
「ほい、オムライスだ」
「今日もふわとろそう。いただきます」
そして、今日も今日とて一葉は美味そうにぺろりと平らげた。
俺はまた嬉しくなった。
「ごちそうさま!」
「ほい」
「ねぇ…文くんってここで働いてばかり?」
「そうだな。友達がな」
「ぼっちだったんだ。いきなりごめんなさい」
「ぼっちやめろ。俺の精神がかわいそう!少ないだけで友達ならいるから」
「どんな子どんな子」
「食い付くな…お前だよ」
「え、私?」
「あ、やっぱり違うか?」
直後、一葉は全力で否定して恥ずかしくなったのか顔が一瞬で真っ赤になった。
本当に可愛いな。
「そっかぁふーん、そっかそっか。えへへ、私が最初の友達なんだ」
「そんな嬉しいか?」
「当たり前の園だよぉ♪」
手を頬っぺたにあてて偉く上機嫌だ。
「えへへ、文くんは私で嬉しい?」
「一葉が最初の友達で嬉しいぞ。しかも、最初がこんな可愛くて美少女なのは俺だけだろうな」
「もう!良い過ぎたってばさぁ♪」
また真っ赤になった。上機嫌も更に上がる。
「文くん文くん嬉しい?」
また一葉は聞いてきたので俺もまた嬉しいと返すと再び同じ反応。
嬉しい通り越して恥ずかしくなってきた。
何か話題が欲しい。
「今日のオムライスどうだった?」
「友達特典で世界最強♪嬉しい?」
「お、おう。ありがとう…嬉しいぞ」
「そっかそっかぁ〜えへへ」
これいくらなんでも上機嫌なりすぎじゃないか?というか、一葉の方が可愛さ世界最強だろ。
俺は何を言ってるんだ。否定はしないけど。
この雰囲気に毒されてきてる。
話題変えよう。
「一葉」
「何?親友の文くん」
「いきなり親友までに進化した!?」
「…親友はいやかい?」
うぐっ、ズルい。ここで上目遣いで聞いてくるのはズルい。
こんなの否定したら悲しい顔になるの確定じゃないか。否定するわけないけど。
「嫌なわけない。めちゃくちゃ嬉しい」
「えへへ、良かったぁ♪」
そう言って一葉は嬉しい顔を俺に向ける。
そして、これがどうやらクリティカルヒットしたらしく。
一葉に呼び掛け、途中、俺はお客様から注文を受けて、戻っては呼び掛けを繰り返したが「えへへ」としか答えない。
それが続き、そろそろ5時。
「一葉。もうすぐ5時だぞ」
「あれ?もう?会話すると早いねぇ」
「いや、一葉ずっと親友は嫌じゃないって俺が言ってから『えへへ』で何も話してないだろ?」
「えぇ〜文くんそんなわけ…本当に」
「本当に」
「本気でマジ」
「本気でマジ、更に付け加えるとガチだ」
「……そんにゃあああああ!」
一葉は頭を抱え、椅子に座ったまま暴れまわるという妙技を見せる。どうやってんだろ。
どうやら一葉の頭の中では、あれから会話が弾んでいたようだ。
話は余り出来なかったけど。友達、いや親友として認識できたしいいか。
――――――――――――――――――――
今回は大分短かったと思います。
書いてみたらそうなりました。
物足りなかったすいませんm(≧Д≦)m
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