第3話いらっしゃいませ。 行き倒れ美少女はメイドとなる
翌日というか今日なんだけど、遭遇しても可笑しくないのに一葉と不思議と出会わなかった。
もしかしたら休み時間中、他の生徒に囲まれて何処にも行けなかったという事もあるかもしれない。
一応一時間目後の休み時間、一葉の教室を通りすぎながら見たら話し掛けられてはいたけど、囲まれてはいなかったから、多分大丈夫だったはずだ。
何故?会わないのか?
これは自分勝手な考えだが、美少女が転校してきて、誰一人知らない学校にお知り合いがいた。おそらく美少女は絶対駆け寄ってくるだろう。そしたら周りから負の感情のこもった目線を受ける。それは嫌だ。
心配をしていないわけではない。只、俺は学生生活だけは平穏にしたい。美少女との学生生活も憧れなくはないけど。
平穏一番。
そして、今日も今日とて俺は放課後、家の喫茶店で働いている。
プルルル〜♪
店の固定電話からだ。
「はい、Natume's Cafe」
『あ、文くんだ!ラッキー』
「一葉?店の番号調べたんだな」
『うむ、名前打って、検索してと苦労したぜ』
「それ普通だよな」
『文くんノッてくれるから嬉しい♪』
「ですか…で、ご用件は?」
『そうだった!今、店の前にいるから早く来てね』
「そ…」
返事の有無返さない勢いでプツンと通話を切れた。また行き倒れかとも思ったけど、声が元気だからそれはないだろう。いや、行き倒れでも絞りに絞ったら出来るのかな?
俺は親父に店前の外に出てくるのを告げて店の外に出た。
「一葉来たけ……」
扉を開けた瞬間、言葉を失い、俺の頭上に雷が落ちた。
「なん、だと」
何とか言葉を絞り出した俺の目の前には、絶対無双美少女メイドという存在となっている一葉が立っていた。
理由なんて目の前の存在には皆無と感じた。だが、あえてツッコミをするなら、どうしたらそういう格好をしようという思考になるんだよ!、だ。
不意とか油断とかその他諸々突かれた。
アニメ等で良く見るフリルを沢山あしらったスカート丈短めのメイド服からスラッとして、もちもちと柔らかそうな手足を出している。
更に、足は白のニーハイソックスによって絶対領域が現実で見たことないはないが、完璧と言わざるおえないエロティック。
「ふふん、どう、かな文くん」
一葉は腰に手を添えて胸を張って感想を俺に求めてくる。
同時にたわわがたゆん。
「文くん今変態な視線をキャッチしたよ」
「お前にはレーダーでもあるのか!?」
「肯定したな。文くんえっちぃんだぁ」
ぐぬぬ。小悪魔的なドヤ顔を見せつけてくる。悔しくもそれがくそ可愛い。
「で、私の格好はどうかな?」
どうだと?これに嘘などつけれる奴はこの世にいない。決してドヤ顔のお返しではない。
「可愛い、めちゃんこ可愛い、抱き締めたいほど可愛い」
「な、なな…!?」
一葉は体を顔を真っ赤にしながら体を縮込ませる。
すると、たわわさんが一段強調なされた。
何をいってるんだ俺は。
既に理性が崩されて持っていかれそうになってる。強く保て。
「い」
「い?」
「良い、よ。文くんが…その…望むなら」
「なん、だと!?」
俺の強く保とうと頑張る理性を完全に崩壊させるような言葉を一葉は繰り出すと、良いよと両手を広げる。
いやいやいやいや。
それは駄目だろ!一昨日今日の仲の美少女をハグしても良いと思っているのか。
「だ」
「だ?」
「大丈夫だ」
「なんでぇぇぇ!」
「えぇぇぇぇ!」
「勇気振り絞って言ったんだよ私!そこは抱き締める所でしょ文くん!ヘタレ、バカタレ、焼肉のタレ〜!」
「いや、最後のは関係無くない!?」
「うるさい、うるさい、うるさい!せっかく行き倒れてた所を助けてもらったお礼しようと思って来たのにぃ!」
一葉は駄々こねるようにピョンピョン軽く跳び跳ねる。
その度にたゆんとたわわが揺れた。
「またえっちぃの感じた」
「な、なら跳び跳ねないでくれると有り難い」
「…分かった」
駄々っ子が急に素直になり、跳び跳ねるのを止めた。これにより俺の理性は守られたのであった。
「それはそうと、はよ抱き締めよ。美少女抱き締める経験など多分二度とないよ」
自分で美少女言いよった。いや、実際美少女だ。自負しても可笑しくないほどに。行き倒れ特典で付くけど。だが、俺の心は揺るがない。
「一葉、俺は抱き締めない」
「えええ」
「ジト目で見るな。いいか、一昨日昨日の関係の俺達がするものではない、だろ」
「まあそうだの。じゃあ長い付き合いになったらいいのかいの?」
「う~ん…それはまた違う気がしないかの」
一葉は「むぅぅ〜」と唸りながら可愛く美形の顔を膨れっ面にするも最後は納得した。
直後、きゅるるる〜と最近聞く音が響いた。
「…えへへ、ここに来るまでに軽く食べたんだけどなぁ」
この美少女は腹に猛獣でも買ってるのだろうか?
「ここじゃなんだし入るか」
「うむ」
そして、俺と一葉は店に(俺は戻る)入った。その瞬間、「メイド!?」というお客様の視線が一葉に集まった。
「文くん、今更ながら恥ずかしくなってきたよ」
「着替えあるなら、裏が控え室だから着替えたら?」
「ないから大丈夫……それより文くん、もう駄目」
「早いな。分かったすぐ作る」
俺はキッチンに向かいながら一葉を一昨日昨日と同じカウンター席に運んだ。
定位置になってきた。
「文くん…オムライス」
「ナポリタンじゃなくて良いのか?」
「文くん、昨日の事考えたら売り切れてるよね?」
口は笑ってても目が怖い。でもその通りだ。なら、明日は一皿分確保しておくか。
そも、明日来るのか?
とりあえず今はナポリタンだ。
「分かった、ナポリタンよりちょっと時間かかるぞ」
「ヨーソロー」
俺は急いでオムライスを作った。
途中、紅葉さんがオムライスの注文を二つ取ってきたので追加でお客様の分も作った。
受け渡しカウンターにオムライス二つを置いてから一葉のオムライスを席に持って行く。
「またせてすまん一、葉!」
店の中でというのは成長したけど、一葉はカウンターテーブルで今日も行き倒れ美少女と化していた。
「ふ、文くん…で、出来た?」
「おう。どうぞ」
「ほわぁ!美味しそう、いや、絶対美味しい。いただきます!」
スプーンでオムライスを掬って口に運ぶと、「とろふわだよ!文くん」とぱぁと花開いた笑顔で感想を言いつつ、今日も黙々と美味そうに完食した。俺も作って良かったと嬉しくなった。
「ごちそうさま!」
スプーンを皿に置いて、今日も手を合わせ、最後まで一葉は満面な笑顔だ。
「それで一葉、確認したいんだが。昨日来たのもお礼の為か?」
「イグザクトリー」
「oh…それで何でメイドなんだ?」
「一昨日と昨日どっちも行き倒れだよ、餓死寸前だよ!なら、メイドになるしかないよ」
「すごい理屈だな。というか、人間そんなすぐ餓死しないと思うぞ。」
「でもでも、助けてもらったのは事実だよ。だから…ね、ご奉仕メイドさんに…なりました、ご主人様」
どうしよう、一葉さんが可愛い過ぎて理性飛びそうなんだけど。
「ご主人様、恩を返すには何を致したら良いですか?あ、えっちぃ要望は禁止ですよ」
一葉は微笑みながらメイドモードと言うべきか、ガードは固いようで安心した。お陰で崩壊しそうだった正気と理性も元に戻った。
「あのさ、な」
「ないは無し」
「エスパーかよ!」
「レベルは
「レベル
「ふふふ、それは望みを私に言うだけでよい事なのだよ」
と言われても、対価欲しさに助けた訳じゃないから正直何も無いぞ。
でも、一葉がお礼がしたいと頑固だ。
考えろ。美少女メイドに望む物を………あ!ある、あるぞ。
「ふ、待たせたな一葉。お前の望み叶えてやるぜ」
「こい、文くん」
「ちょっと待て!何でそこでいきなりファイティングモードに変える?そこは俺のターンじゃない!?シャドウをするな、シャドウを」
「だって…え、えっちぃのかもしれないし」
「ねぇよ!禁じたのお前だろ!あと、するつもりもないからな」
「むむ!?それはそれで何か傷付いたなんだよ!」
どっちだよ!
駄目だこれ、無理矢理にでも話進めないと収集着かないぞ。
「ごほん。とにかく俺の希望はえっちぃのではないことを信じてくれ。そして、シャドウを止めてくれ」
「信じよう。そして、仕方ないから止めよう」
「仕方なく止めるな!?ごほん。じゃあ改めて」
「うん」
ごくりと喉をならして一葉は身構える。
て、何で周りのお客様も身構えてるの!?止めて、滅茶苦茶プレッシャーだから。大したこと無い時の反動きついから重くしないで。
仕方なく俺は息を整える。
「5時までで良い。そのメイド姿で接客をやってくれ」
「ほへ?」と共に虚を突かれた顔をした。
「望みは分かったけど、残り一時間だよ?そんな短くて良いの?」
「バイトじゃないから、流石にそれは」
「う〜ん…文くんそれで本当に良いの?」
「一葉、メイドは働いてこそ、ご奉仕してこそ(多分)メイドだ。そして、俺は美少女メイドであるお前が働いている姿を見たい」
「はう…!」
顔を真っ赤に染めて照れ始める一葉。
今日この短時間で何回言ったか、思ったか覚えてないけど可愛いわ。
「ほ、本当に」
「本当だ、本気だ。こんなの一生に一度、有るか無いかだからな」
「……畏まりました、ご主人様。それでは接客を開始します」
それから一時間、『一時間限定で、超絶無双美少女メイドが接客する』という内容をSNSにアップした人達がいたらしく大盛況。
一葉が帰ったあとも味が高評価で絶えることは無かった。
結論。
美少女メイドは革命を起こす。
あと、慣れてなくてあたふたしながら接客する一葉、結構可愛いかった。
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どうも翔丸です。
ちょくちょく投稿か書き留めという形を取っておいて、他の作品にも力をいれようと思います。
勝手ながらにすいません。
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