第26話

今村 佳代さんはだいぶん今村さんに近い

お話をする事が好きな女性だった。


お店に帰ったらよそ行き対応の白木さんと

我が家のようにお茶とお菓子で談笑する

今村さんと三男坊のお嫁さんこと佳代さんが

いた。


前に誰かが、「女が元気な家は良い家だ」なんて

言ってた。

たぶん今村さんのご家庭は「良い家」なんだろう。


店がいつもより暖かい。


佳代さんはフリーマーケットの

集合時間と出展場所の描いたお手製のマップを

くれ、作業内容をササッと説明したところで

スーパーに買い出しに行くと言って

慌ただしく帰って行った。

もちろん今村さんも。


汚くしていきやがって、とか何とかぶつくさ

ぼやくよそ行き仕様を解除した白木さんは

カップにコーヒーをいれ出した。


今村さんはいわゆる、パートタイマーの女性で

今日はお休みの日にわざわざ時間を割いてきてくれたらしい。

家族のために動けるいい人だなぁ、と

「お茶会」の掃除をしながら思う。



「そうそう、白木さん掌円和尚が白木さん

忙しいと思うけどまた顔見せてって言ってましたよー」


だんまり。


たぶん用件は耳に入ってるはずだから

まぁ良い。


今の距離はこれくらいがいいのだろう。


私は私で店の掃除と書類の仕分けで一日が終わった。

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