第25話
掌円和尚は御年八十余ながらも
しっかりとした足取りでハツラツとしている。
さすが毎日多く人と会う人は違うなぁ、とか思いながら
目の前にいる笑いジワをたたえた声に丸みのある
和尚と世間話をしながらストーブにあたり
広いお堂のど真ん中で
「白木さんは元気にしてる?」
ほーら。掌円和尚は白木さんの事気にかけてるのに。白木さん、中々行きたがらない。
「忙しそうといえば、たぶん、忙しそうです」
「白木さんも忙しい人だからねぇ、
気が向いたら来るように言っておいてくれる?」
あぁ、優しい。気難しい白木さんの性格を分かってる。共感に似た喜びを持った。
「お気遣い感謝します。白木にも伝えておきます」
お堂にポッキーと飴の袋をお供えして
お寺をあとにした。
水子供養から厄祓いから、全国からひと足の絶えないこのお寺は私も割と小さな頃から高校進学前まで
曾祖母とは来ていた。
けれど和尚に会ったことは無かった。
ザラザラと砂の落ちる音と、
サックサックと雪の踏みしめる音がする。
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