第24話 お針子少女の夢

今村さんのお宅は4人子供がいて、

今は全員所帯を持っている。


そのうちの三男が家に残っていて

父親の家督を継ぐらしい。

町工場だから規模はそんなに大きくはないが

ここら辺一帯では有名だ。


まぁ、その今村さんの三男のお嫁さんが手先が器用なもので、

今度の土曜日に公民館で手芸愛好家による

フリーマーケットに出店する。


「それでね、私が本当はお手伝いに行こうと思ったんだけどね、仕事がはいりそうなのよ。

だからスミちゃん代わりに手伝って貰えない?」


チラとカレンダーを見るが今のところは特に仕事も予定も無いので

お手伝いに行くことになった。


特殊な商売相手と内容のためか

表向きは決まってる営業時間帯と定休日はあるが、

実際のところ割と仕事の時間と休みの時間の境目はないに等しい。


たぶんお手伝いだから休みではないが

久々の仕事をしない休みの日だ。


そう思うと何となく、足取り軽く

サックサックと雪道を登っていけた。


雪が降らない晴れた午前中

白木さんの「お使い」に

仕事でお世話になっているお寺に行った。


お寺前の雪のうっすら被る白い石畳を通り、

掌円しょうえん和尚のいるお堂に行こうとした道すがら、

粒の大きい砂の落ちるような音がとめどなく

聞こえた。


枯山水でも作るんだろうか。


お弟子さん、沢山いるもんな。






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