第22話


黒い砂を飲んでは地に吐きそうな

吐かなさそうな、夢を見ていた。


また朝起きたら家に知らない女の人が「いる」。

流血していない。

五体満足。

足も手も変な方向に曲がっていないし、

首から上もしっかりある。


でもこの人は「ちがう」。


秋も深まるこの季節、

窓を閉めていても漏れて家に入ってくる冷気で

家は冷える。

ちょっと前までうだるような暑さだったのに。


その人はカーテンとレースをひらき、

家に日光を入れてくれ、

ヤカンに水を入れガスを点火してくれた。


オレンジがかった風景だ。


ぼんやりぼんやり。


目覚ましに顔をあらい、

熱いシャワーで強制的に目を覚ますと

家はもう日光で白みがかった部屋に「変わっていた」。

女の人は消えていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る