第21話
しばらく母さんと話していたおじさんは
横に座っていた俺にぐるりと体を向けた。
「ぼうず、自分のしたいことをしないと
人生短いんだ」
「お前のおじいさんも孫がやりたい事出来ないの見てるの、悲しむぞ」
一気に核心をつかれて沈んでた何かが
べろりと剥がれて浮かんだ。
バチりとハエが天井の電気に向かって突っ込んで
はじかれた音がした。
そうだ、約束したんだ。
じいちゃんと。
俺はじいちゃんといた時が楽しかった。
自分がやりたい事じゃないと俺は動けないし
母さんの思う通りには出来ない。
ヒステリックに怒り、手を引っ張る母さんを
「じいちゃん、俺、沢の生き物の勉強したいんだ」と独りごちた。
「じいちゃんが連れてってくれた沢にいた生き物が減ったんだ。俺はそれをもとの綺麗な沢に戻したい。」それだけ伝えたかった。
まわりに話を聞いてくれた大人がいて、
自分では適わなかった壁にそれは
超えなくてもいいって言ってくれた。
それに救われた。
今はじいちゃんでもおじさんでも、誰でもいい。
2話 祖父との「約束」
おわり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます