第18話
気が付いたら学校にいた。
また気がついた時は家にいて、
また数日後には今度は塾で物理をやっていた。
あれ、俺いつの間に塾来てたんだっけ。
何で俺、お姉さんと話してるっけ。
話を聞きたくても全然頭に入ってこない。
物理の公式が頭に浮かぶ。
「ねぇ、どうしたい?」
そこだけ聞き取れた。
「え…」
久々に自分の出した声を聞いた気がする。
お姉さんは数秒後に「ちょっと座って待っててね」と静かに俺に言い残して
ドアを少しだけ開けて消えた。
おもむろに漢文の参考書を出してみる。
そうだ、俺は勉強しないと。
なんのため?
一講分の問題をとき終わって採点する頃に
お姉さんとおじさんまで今度はやってきた。
「ねぇ、わたしから提案なんだけどさ、」
「私にあの机、譲ってくれないかな?」
机…机ってなんだっけ。
いいや、「良いですよ」と応えた。
「ありがとう」と小さく言われた。
おじさんが今日は俺が送る、と言って
乗せてくれた。
帰り道にコンビニでおにぎり5個買ってくれた。
最後に一丁手前で下ろされてから
「ぼうず、今日は何日だ。今までどこにいた」と
聞かれたから
今日は28日で学校は休みのはずだから
ずっと塾にいたと行ったら
嘘つき呼ばわりされた。
その通りでスマホを見たら26日だった。
塾のテキストじゃなくて学校のカバンを持ってた。
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