第11話 閑話休題
そもそも、ここのお店に電話がかかってくることが稀で
黒電話の音には慣れず、ホラー映画のCMで
恐怖を植え付けられて以来
苦手な部類に属する黒電話と
電波の悪いラジオ。怪しめの電波は割とラジオは
敏感に拾うからやめて欲しい。
WiFiよりそういうのひっかかりやすいから。
と何度もうったえるのにケロリとして
無視される。
古びた商店街の、お店脇の小さい看板しか目印の無いうちのお店は、近所の人達がたまにリサイクルショップと間違えて物を持ってくる。
日に3件続いた時はその後白木さんがブチ切れていた。
面倒事を扱うのに面倒事が嫌いな、私の上司は
すぐ面倒事を私に放り投げる。
球切れした電球を買いに行かせ、出前の電話をさせ
他の店員に所在確認の連絡を取らせ、
うちで受けれない依頼案件を持ってくるお客さんに
断りをいれさせ、
しまいには定期的にお寺と神社に書類を届けに行かせる。
入って二ヶ月とちょっとすぎる頃には雑務担当
になっていた。
基本人と話すのが面倒らしい。
じゃあ、今まであなたどうしていたのか、と
気まぐれすぎてたまに
立ってるだけでキレられる。
理不尽な。
たまに勤務おわりに会える主婦でパートの今村さんには
面白そうにされるし
解決してくれない。
前に1回だけ白木さんと本気で喧嘩した時は
さすがに今村さんも少し焦ったらしいけど
お互いキレていたからまぁいづれ落ち着くか、
とこれまたよく分からない過信をされていたらしい。
出前を頼む津田さんには親子のようだと言われ、
文具屋の大沢さんには…何だったか
横並びのような事を言われてしまった。
つかず離れず。
お互い依頼が重なった時やら疲れた時ははぁー通り越してにゃーと
言っていて仲がいんだか合わないんだか分からなかった。
白木さんは作業デスクの下に
猫缶を用意しててあげている。
定期的に猫が集まってくるようだった。
私は私で撫でたくて近寄ると
5匹に2匹の割合で逃げられるけど
残りの子には膝にのってもらえる。
調子が良ければ触れる。
ゴロゴロと喉を鳴らし
晴れている時はお腹をみせ大の字になって
膝の上で器用に寝ている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます