第7話

おはぎを頬張りながら、

「ねぇ白木はん、」

「ん?」

熱めのお茶がお好きなようで火傷しそうな

お茶をすすっている白木さんにも聞いてみた。


「いいご家庭で奥さんとも仲良くて

冬場マフラーまで編んでくれる奥さんが心配だったから未練あんのかな?それとも病院でやな事あったのかな、やっぱり」

と尋ねてみるも


「知らん」の一言だけ返ってきた。


その「知らん」の言い方は何かを知っている事を

私は知っている。でも教えてくれないのは

下手に手出ししたくないのか

私に仕事を任せたからなのか。

基本任せた仕事は放任して最後まで考えさせるのが

白木さんの指導方法らしく

指導なんて学校の授業くらいの私には

自生していかなきゃこの仕事なんて務まらないなと

割と初期に思ってた。


静かなお茶会だが

つまらなさそうな素振りを見せないし

私を娘のように叱ってくれるので

やはりいい上司であった。



「明日も連絡つけてきてやるから

行ってこい」とだけ残して皿と湯のみを

さっさか退社していった。


うん、いい上司。


放っていったよ。

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