第6話

凄くいい家庭で隙がある意味無さすぎて、

まだ私には彼が残る意味を理解しきれていなかった。


そこで安藤夫人に病院生活のことを聞き出した。

薬手帳が供えられていたため

病院の医者かナースか、保険絡みか。


夫人曰く、やはり安藤氏は

入退院を繰り返し、病院を転々とされてきたようだ。


治る見込みのない患者はベッドの空き数の関係で

人の少ない病院にまわされることがまま起こる。


彼もその例に漏れずそうであったらしい。


その度遠くなる家に未練があったのか。


次に私は変な質問を投げかけた。

彼は家が好きな人であったか、と。


突然の質問にポカンとする夫人を少しだけ無視して

話を押し進める。

盆栽と庭いじりが趣味で木彫りが上手でよく削っているとの事だったので

その線も無かった。

お家での趣味がある人ならその家か部屋はその人にとって、居心地が良かった筈だから。


じゃあなんだろう。

取りあえずはお饅頭を残してお開きとなった。



水卜屋でおはぎを買って帰ろう。

緑茶が切れていたから茶葉と、スーパーでプリンも一緒に買ってこよう。



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