第3話
そうと決まれば早いもので。
カフェオレと目玉焼きとトーストを用意してくれた
白木さんに行ってきますを言い、
秋晴れの肌寒い中、春先に買ったミルクティ色の
コートを羽織ってスニーカーに履き替えて
長年私と白木さんが乗り回すサクシードバンに
足をかける。
「あ、そう、白木さん」
なかなかどうにも私も声が通りにくいので
2、3回言ったくらいにして。
ようやく気づいた白木さんはチロリと目線だけくれる。
「今日帰ったらおはぎ食べましょーねぇ」
…鼻で笑われた。そんな事か、と思われてるだろう。
隣町と言えど店と今回の依頼先は端から端までの移動だからかれこれ2町分くらいの移動距離にはなる。
狭い小路が多く、道路工事もやっている、
ちょっと出遅れてラッシュときて
さすがに予定時間より大幅に遅れて国道線に出た。
ここまで来たらあとは捕まらない程度にとばせばいい。
ただいつもはこの時間で顧客の情報をさらうのに!
朝食ゆっくり食べすぎた事に後悔をしつつも
秋晴れが気持ちよく窓を5センチ開けた。
晴れた日の運転は目の色素が薄い私には少し辛いが冷えた空気とあったかい太陽が気持ちいい。
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