第12話 別れ
私とラヴァが戻った時には村には誰もいなかった。
すっかり夜で月明かりが薄暗く照らしている。
「明かりが無いなぁ、暗くてあんまし見えねぇ.....」
「うそ......何で......」
リペアが待っているはずの家に行くが、そこにはやはり誰も居なかった。
「なぁリィラ、村のみんなは何処かに出かけたのか?」
「そんなことはない......いつもならみんな自分の家に戻ってるはず......」
リィラは他の家を見て回る、何処の家も誰もいない。あるのは静けさだけ。
しかし、不自然な点はあった、いくつかの家は薪が消された後があったが煙が消えて間もないようで、山菜のスープが熱いまま置かれたままだったり、寝床が用意されていたり、外には、子供たちがさっき作りかけたような泥人形があったり、水やりがされたばっかりのような畑の野菜など生活感があったのだ。
ラヴァはしばらくリィラと村を探し言った。
「リィラ、ちょっとその辺見てくるぜ? 」
「分かった、私も探すね……ごめんね夕飯食べようって言ったのに......」
ラヴァはリィラの肩を叩いて言った。
「いいって! そんな気にすんな......俺も気になるんだよ、さっきから気配を感じてるしな......」
「えっ? 気配? 誰もいないのに? 」
その時リィラとラヴァの反対方向から音が聞こえてきた。
草木を引きずるような音だ。
リィラは驚いた。
「今のは!? 」
「リィラ! 向こうだ! 」
2人は音のする方向へ向かう。
薄暗く照らす月明かりの中でリィラは信じられない光景を目の当たりにした。
ーーリペアが血を流し倒れていた。
「リペア!!」
「......ここは.....元の...リィラ……無事....だったのね...」
「そうだ、傷薬……リペア、傷を診せて」
リィラはうつ伏せだったリペアを仰向けにして傷薬を塗った.......腹から大量に出血している。
ラヴァは何も出来ず、ただ黙って見ることしか出来なかった。
「リィラ話を....聞いて、あなたも....危険なの....」
「えっ?」
「この村に住んでる......大半はね......『
「....リィラ......あなたもよ」
リペアは耳に着いている鈴を、外し、リィラに渡した。
「これを……あなたに……使い方は分かるわね……かくれんぼした時のことを思い出して......」
「それと.....」
リペアはラヴァを見る。
「君は? ……うぅん……誰でもいいわ、勝手なお願いで悪いけどリィラの事を……助けてあげて」
ラヴァは黙って頷いた。
「リィラ、私はここに残る……『奴ら』が来る、私が食い止めてる間に逃げなさい、もしもの……時は鈴を使うのよ。」
「駄目だよ、みんなで逃げようよ! リペアぁ……」
「私はもう走れないの……それに……リィラの傷薬が効いてきたみたい……リィラ、私は助かったのよ......頑張るからね!」
リペアはいつもの笑顔を見せ、立ち上がった。
「リィラ、"お休みなさい"」
リペアはリィラの顔に手をかざした。するとリィラはその場で眠った。リペアはそれを優しく受け止めた。
「ごめんね、寝る時以外は"使わない"と決めていたのに......」
リペアはラヴァに言った。
「あなた、リィラに伝えて欲しい事があるの……私の"竜技"を引き継いでいる弟子が居ることを、もし会う事があったら力を合わせてと.....」
「それと.....リィラが目を覚ましたらおはようっていつも私は言ってるからって伝えて欲しいの……」
ラヴァは頷いた、目に涙を浮かべている。
「ふふっ、あなたが、泣く事は無いのに.....良い龍ね...」
その時リペアの背後から獣の様な唸り声が聞こえてきた。
数10体いた、体全体は真っ黒で龍鱗があり、目は真っ白で手と足には鋭い刃物の様な爪が伸びている理性がない凶暴な龍のようだった。
「
リペアはラヴァを真っ直ぐ見据えて言った。
瞳から涙が溢れ落ちたラヴァは頷いた、リィラを背負い村を後にする。
黒色の龍が一斉にリペアに襲いかかるが、全員リペアの力により眠らされる。
「リィラには近づけさせないわ、絶対に! 永遠に眠り続けなさい! 」
リペアはその場に崩れ落ちた。意識が少し朦朧としてる中でリペアは思う。
「今日も......リィラと.........一緒に........寝たかったなぁ.....」
今までのリィラと暮らした日々の出来事が走馬灯のように浮かびあがった。リペアは瞼を閉じる。
.....頼んだわよ......『
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