第2章 龍治院編

第13話 再開、和解

 リィラは龍治院で目を覚ました。朝の日差しが一室を照らしている。


 岩龍がんりゅうログが隣で眠っていた、龍治院にいて2日目になるところだった。


 じゃあ、ログ......また後でね。


 リィラは眠っている、ログにそっと囁いて部屋を後にした。

 ドアを開けた。向かい側にも同じ部屋がある。左右は通路になっている。


 リィラが開けたドアの上部分には1と書かれている、向かい側は7だ。リィラが開けたドアの隣にも部屋が2、3とそれぞれ番号が振られてある。向かい側にも7、8、9と3つ部屋があった。


 ここは龍治院の西側になっており、反対の東側も同じ構造になっており、3の部屋の隣には4、5、6......9の部屋の隣には10、11、12となっている。


 そしてこの場所の中央には円形のリフトが2つある。リフトの上部には4Fと表記されている。


 3の部屋の角を左に曲がり、右正面を向くと階段がある。10の部屋の角を右にまがり、左正面を向くとそこにも同じ階段がある。


 リィラは3の部屋の近くの階段を登った。


「ラヴァ、今日は間違えて上にいったのかなぁ?」

 ラヴァは昨日リィラに会う時部屋を間違えていたそうだ。


 龍治院の治療士ロウラは多忙だった為、最初口頭でラヴァに部屋の居場所を伝えていたが、11の部屋を探している所をロウラが見かけ案内したそうだ。


 リィラは階段の登りの折り返し地点の壁に、刻まれた5Fという文字をぼんやり見ながら上の階に登った。


 そこで部屋の角を曲がる時だったリィラは少女とぶつかってその場に尻もちをついた。

 ゴチンッ!


「痛っ!」とリィラ。


「きゃあっ!」と少女。


「ごめんね、大丈夫?」


 リィラは自分の足下に小さいメモ帳の様なものがページが開かれて落ちている事に気付いた。そこには


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 私の竜技の師、青龍エンジュが使う清練セイレンについて、

 清練セイレンは水によって生成される刃、その効果は"鋭い"ものと弾き合うことで無限大の"強靭度"を得る事ができる。解除すると"強靭度"は元通りになる。水場がある場所だと刃の長さを自由自在に変えることが出来る。


 備考 強い!カッコいい! ヤバイ!

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 思わず読んでしまった。


「あぁぁっ! すみません! それ、わたしのです! 」


「あぁっ! ごめん! 」


 リィラは素早く少女に返す。少女は慌てた様子で、受け取る。少女は水色の髪の毛に緑色の髪が混ざっていた。


 2人は立ち上がった。


「じゃあ、いきなりごめんね!」とリィラは背を向け歩き出す。

「いえ、私が悪いんです、読みながら歩いていたから....」


「セレン、どうしたんだ?」


 後ろから聞いた事のある声が聞こえた。


「あっ、エンジュ! なんでもないよ、ただぶつかっただけ」


(えっ?今のは)


 リィラは後ろを振り返った、リィラは目を丸くした。山で会った青い龍だ。

 青い龍もリィラを見て、かなり驚いた様子だった。


「お前は!? あの時の......」とエンジュは言う。

「無事だったのね....」とリィラ。

「ラヴァから聞いたわ......あなたはフォーコから私達を守ってくれた」


「......私はお前と岩龍を襲った.......礼を言われるほどじゃない」


「そんなことないわ、フォーコが岩龍に化けていたのよ、私も完璧に騙されたわ、それにあなたは私の事庇ってくれたわよね、フォーコの棘が私を狙った時、貴方は私を斬らずに庇ってくれた......」

「……闘いの最中に邪魔が入るとは思わなかったがな」


 エンジュはため息をついた。

「とにかく、私はもう君を襲う理由はなくなった、私はフォーコを許さない、セレンの怪我が治ったら、すぐにでも追うつもりでいる……すまなかったな」


「岩龍は......ここにいるのかい? 」

「いるわ、まだ眠っているけど 」


「そうか......悪かったな.......怪我が早く治るといいな 」

「えぇ......ありがとう、えっと.....」

「エンジュだ。」

「私はリィラ」


「あのっ、私はセレンっていいます。フォーコに最初に襲われたの私です、でも、大丈夫ですよ! 私とエンジュがフォーコの事何とかしますから! 私エンジュから竜技の稽古をつけてもらってるんです。」


「……そうなのね......私もラヴァから竜技りゅうぎを教わってるわ!」


 ラヴァによる修行はざっくり大雑把なのを思い出したリィラは少し不安な気持ちになった。


「本当ですか! 一緒ですね! 一緒に頑張りましょう。」


「フォーコに関する事が何か分かったら伝えるわね!」


「助かります! 」


「リィラ、この青龍せいりゅうエンジュは無事であることを願うよ。」


「エンジュ..... なんだかそんなこと言ってると今から危険な目に合いそうな感じがしませんか?」とセレン。


「そうかな? 私はただ無事を願っただけさ、危険な目にいつ遭うかなんて、誰にも分からない 」


「そうだよね.....」


 セレンはメモ帳の様なものに書き込んでいた。

(今エンジュが言った事を書いたのかな.......)

 リィラはそう思った。


「……セレン? 何を書いてるんだい? 」

 エンジュはメモ帳を見ようとする。


「きゃあっ! 見たらダメェ! 」


「はぁ....まぁ別にいいが」

 リィラはエンジュとセレンと別れた。


「リィラ! ここにいたのか?」


 エンジュとセレンが視界から離れた後声をかけられたリィラは後ろを振り返る。


「あっ!ラヴァ! おはよう!」


「おう!今日はどうする?」


「もちろん、修行でしょ! 」


「よっしゃ!行くか!」


 リィラとラヴァは龍治院を後にした。


 ***


 龍治院の少し離れた崖上の森の様な場所で龍治院を見つめる陰が3つあった。


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