第11話 火龍との縁

 私、リィラと火龍ひりゅうラヴァが出会ったのは私が幼い頃からだった......


 私はのどかな村で過ごしていた。両親は物心ついた時から居なかった......私はその村で白い龍、リペアに育てられていた。


 リペアは身体中真っ白な鱗で覆われていて、透き通るくらい綺麗だった。リペアの後頭部から水色の頭髪がいくつか背中まで伸びていて、両耳元に2つ鈴を付けていた。


 リペアはとても優しくて面倒見の良い龍だった。


 リペアと私は、よく山に山菜を取りに行ったり、川に魚を獲りに行ったり。薪を立てた夜、リペアが作ってくれる夕食は

 とても美味しかった。


 焼き魚と山菜のスープは今でも忘れない程だった。


 村には私と同い年くらいの子や龍が10人程度いて、山菜獲りや魚獲りが終わると一緒に遊んでいた。


 そして当然大人だけでなく、リペア以外の龍も一緒に生活していて村同士助け合っていた


「リィラ、私今日村の手伝いがあるから! 山菜は1人でお願いしてもいい? 」


「うん、分かった! もう何回も山に行ってるし1人でも大丈夫だよ! 」


 リペアは優しく微笑みリィラの顔をなでる。


「リペア…….そこ、顔......」


「あら、ごめんなさい、いつもの癖で......」

(何で、いつもの癖で顔を撫でるんだろ......)


 リィラは毎度そう思ったが、優しいリペアが大好きだった。


「あぁ、それとリィラ、これもしもの時の傷薬ね......」


「ありがとう! 行って来ます。」


 リィラとリペアはハグを交わした。


「行ってらっしゃい」リペアは笑顔で見送る。


 ***


 その日の山菜の収穫が終わりリィラは山から村に向けて帰っていた。その帰り道の途中ボォッと燃える音が聞こえた。


 リィラは音の方を振り向く、すると広場の方に赤い龍がいた。


 自分より少し大きい同い年位の龍だった。赤い龍は燃える剣を両手に持ち素振りをしていた。


「わぁっ、凄い! それ竜技りゅうぎっていうんだよね? リペアが使っているの見た事があるんだけど、燃える剣を見るのは、初めてだなぁっ」


 赤い龍は剣を解除し、少し驚いた様子でリィラを見た。


「あっ……いきなり声かけてごめんなさい……」


 赤い龍は首を横に振る。


「私リィラって言うの……あなたは……」


「俺はラヴァだ......よろしくな! 」


 赤い龍は右手を差し出した。


「それは……なぁに……?」


「"握手"だぜ、よろしくってことだ!」


「そうなんだねぇ! もやるんだね?」

「そんなの、どうだっていいだろ?」


 リィラとラヴァは握手を交わした。ラヴァの腕は筋肉質で結構太くて、手には豆がいくつか出来ていた。


「毎日、剣振ってるの?」


「おう、何で分かった?」


「手に豆があるんだけど......」


 ラヴァは自分の手の甲を見て行った。


「これ、鱗じゃねぇか」


「あっ、逆だよ逆!」


 リィラはラヴァの手の平を掴み指刺した。


「あーこれかー、そんなもんとっくに前からあるぜ!」


「私にも出来るかな?」


「ん?、そりゃあ毎日振ってたら、出来るだろ。」


「ごめん、豆じゃなくて、その竜技が私にも出せるかなっておもってさ......」


「あぁ……そういえば俺、人間が竜技を使ってるのを街で見たなぁ……」


「えっ!そうなの!? 私にも出来るかなぁ? 」


「やってみるか?」


「うん、やってみたい! そういえばラヴァってさ、村に住んでないよねぇ、見かけたことないわ」


「この近くに村があるのか?」


「あるよ、今から夕食を食べる所なの、よかったらラヴァもどう?」


「いいのか?腹減ってきたなぁ……」


 ラヴァはお腹をさすり嬉しそうな表情をしている。


「えぇ、もちろん......あっ、ご飯食べた後にちょっと竜技りゅうぎ教えてね! 」


「いいぜ!」


 ラヴァとリィラは村へと向かった。しばらく歩くと村がみえてきた。


「リィラ、この辺なのかぁ?」

 ラヴァは尋ねる。


「そう……なんだけど」


 リィラは不安を感じた。

 明かりも無く、人気のない村が見えてきたことに。


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