第9話 決着
青い龍は左肩に傷を受け肩を少し落としている。右手に
「
岩で生成した弓を構えていたログは矢を青い龍の足下をねらって一発放った。
「
岩龍ログが射抜いた矢は青い龍が左手を前方にかざして発生した、水状で円型の螺旋の渦によって止められ、地面に落ちた。
ログは弓を下げた。体の傷が、少し痛み始めたようで震えている。
「....くっ! .......止め...られるとは......」
(これは......水の盾!?ログの弓は.......通用しない......)
「また、矢を放ってきたな! .....この!!」
青い龍は水の盾を解除し、右手に
リィラはそれを
「ちっ!!」
青い龍は先程よりも簡単にリィラに刃を弾き返される。
「もう......やめましょう! お互いボロボロよ......それに......私達は貴方の敵じゃなと思うの」
リィラは声を落ち着かせて言った。額に冷や汗が大量に浮かんでいる。
青い龍は地面に
「私はなぁ! セレンを傷つけた龍がそこに居るから許せねぇんだよ! 」
「何かの見間違いじゃないの!? それにセレンって? 」
「とぼけるな! それに私は! もう、貴様の事などどうでもいい! 邪魔をするから、貴様は私の巻き添えを喰らっているのだぞ! 」
ログが言った。
「リィラ、もう大丈夫だ......俺は......まだ.....全ての記憶を取り戻せていない.....リィラと洞窟に会う前どこで何をしていたのかも....聞きたい事がある....」
「えっ!?でも.......」
青い龍は言い返す。
「記憶もないのに…….私に聞きたい事だと!? 何を考えてi」
「俺の顔に見覚えあるのか?」
ログは途中で遮り質問した。
「貴様! 当たり前だろ! 貴様が俺たちに襲いかかってきたんだろうが! この矢と同じ技を使って!」
青い龍はさっき水の盾
「そっ……そんな!.....」
リィラはかなりショックだった。
(ログがそんな事をするようには、思えない、でも私が証明出来るのは、洞窟から出会ったログの事。ログが以前どこで何をしていたのか私にも分からない……どっちが正しいかなんて私には言える事はない……でも......)
「ログはね.......私を守ってくれたのよ! 貴方と会う前に私達は他の竜に襲われたの……」
「それを私が信じると思うのか? いいか!? 私達はその龍に襲われたと言ったんだ! だがな!? この話を言ったとしても貴様は信じないだろ! 話し合いで解決できる事じゃない!」
青い龍は震えながらもゆっくり立ち上がり
「話の続きは....これで充分だろう.......」
青い龍は刃をリィラに向けた。リィラは闘う気がなかった。後ろに振り返り、ログを見た。
ログは
「リィラ俺はあと一発が限界だ.....」
リィラは頷いた。
「充分よ!」
リィラは砕練刀を地面に落とした。
「私はもうあなたとは闘わない......でも、ログを傷つけるなら!」
「それでいい! 私は斬るだけだ」
青い龍は刃をログに向け無理矢理走り斬りかかろうとしていた。
リィラは咄嗟に近くにあった茂みに走り隠れた。
そして
鈴を急いで鳴らし続けた。
「来利空音透(クリアネス)……」
岩の刃を透明化しリィラは空へ力強く投げた。
「はぁぁぁ!!」
***
「
ログは最後の一発を渾身の力で引き絞り、放った。
「藍擬透(アイギス)!!」
螺旋の渦の盾で忘岩(ボウガン)の矢は容易く防がれた。
「ハァ……ハァ……諦める……訳には......」
ログは再び忘岩を構えるが、岩で生成された弓は少しずつくだけ砂のように崩れさり少しずつ消えていく。
ログは無理やり立ち上がり雄叫びをあげ、岩の弓を投げた。
青い龍はその弓を真っ二つに切った。ログに接近し、今まさにログの心臓直前まで清練(セイレン)の切っ先が迫る所だった。
「……!?」
その一瞬青い龍は背中に強い衝撃を受け地面に叩きつけられた。
(ぐっ!? 今のは!? あの小娘の技か!? 何故気づけなかった!? )
青い龍はすぐに立ちあがろうとした。
「ぐっ……何だ、立ち上がれない……背中が重い……」
青い龍は周りを見渡した、先程草花しか生えてなかった地面には木の枝が沢山散らばっている。
リィラが茂みから空へと投げ飛ばした透明状態の
青い龍は音も無く落ちて来た大木に気付かず、下敷きになったのだ。
青い龍の目前の地面に透明状態だった
「もう一度言うわ! 貴方とは闘わない! でも、ログを傷つけるなら……許さない!……全力で足止めするから!」
青い龍は頭を
「そうか……貴様の言いたい事は分かったが!これで足止めしたつもりか?」
「何を言ってるの?」
しかし、リィラは青い龍の様子がおかしい事に気付いた、青い龍が手にしている
青い龍は頭を俯かせていたのではない、自身の口にある"鋭利"な牙に
「そんなっ...!?」
青い龍は背中の大木に強化された
リィラは大きな水しぶきに思わず顔を覆った。
目を開けた瞬間、
(斬られる!)
リィラは背筋の寒気を確かに感じた。
しかし青い龍はリィラに向けていたはずの剣を解除し、リィラに飛び掛かって、リィラを地面に押さえこんだ。
「うっ...!?」
青い龍はリィラの顔の側面に倒れこんだ。
リィラは青い龍の背中に岩の棘のようなものが1つささっているのを見つけた。
「え!?」
(ログの弓の矢の形じゃない、これは.......)
「おやおや、別の的に当たったようですね」
リィラはゆっくり青い龍を押しのけ立ち上がり周りを見渡す。
いた......ログ.....が2人いた...でも……こいつは……
「あなた......一体誰なのよ?ログじゃないわよね」
「えぇ……その通りですよ……バレてるのなら......この姿である必要は無いですね......」
「変桴化(カフカ)。」
龍がそう言うと周囲の草木が龍の体全体を覆い包んだ、集まった草木は龍に吸い込まれるように無くなり
「自己紹介しておきます」
「私の名前は
「なんで?」
「さぁ?岩龍が闇劇家にとって危険だからじゃないですか?」
岩龍は聞いた。
「何故……俺に......化けたんだ?」
「洞窟であなたを一目見ましたから、私の
フォーコは続ける。
「そうしたら、青い龍は怒って追いかけて来るじゃないですか......まぁそこで本物の岩龍が見つかるとは思いにもよりませんでしたが……」
リィラは拳をギュッと握りしめていた。
(こいつが、元凶!!青い龍を騙し襲わせた!!)
「それで? 私とログはあなたに、確保されると思っているの?フォーコだっけ?」
「簡単に行かないのは、知っていますよ、青い龍と闘う所を見てましたから……勝機は今、このフォーコにしかない。」
フォーコは右腕をあげた。
腕から岩の棘のような物が発生した。
「もちろん……私も力ずくです。」
フォーコは右腕をリィラたちの方向に向けいくつか岩の棘を発射した。
「砕練刀(サイレント)!!」
リィラは棘を弾く。弾かれた棘は近くの地面に刺さる。
(遠くから.....何て技!)
「弾いたからって安心しないで下さいね、このフォーコの竜技、
……!?
リィラ棘から離れようとした.....地面にいくつか刺さっていた棘は肌色から赤色に変わり小さい爆発を起こした。
「リィラ!!」
ログはリィラを庇う。2人は爆発に巻き込まれ爆風で吹き飛んだ。
***
ドカンッ!
山の麓にいた青い髪の毛の女性は爆発音を聞いた。
「何っ!? 今の大きな音は!? 」
音源まで走る、そこには傷ついた2人の少女と龍が倒れていた。
「貴方達、大丈夫?何があったの?」
青い髪の毛の女性は少女を助け起こす。
「ゴホッ.....ゴホッ!」
龍の方も意識はあるが会話出来る状態ではない。
「大丈夫よ!私は"龍治院"の治療士だから、今傷を治すわ」
「
近くの川から水を宙に浮かせ手に集めた女性は治療に取り掛かった。
***
「思ったより爆発の威力が高かったようですね.......加減したつもりなのに......我ながら失態です。」
フォーコは爆風で飛ばされた2人を探していた。
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