第8話 決着の兆し

 少女リィラは岩龍がんりゅうログの砕練刀サイレントを発現させ青い龍に一撃を与えていた。


 青い龍は吹き飛ばされ木に当たり止まった。


「くっ! やってくれたな! 貴様もあいつと同じ砕練刀りゅうぎを使ったな!」


 青い龍は少しフラついたが、すぐに持ち直した。


清練セイレン !!」


 再び水の刃を構える。


「だが、さっきよりも威力はない......この程度で私が

 倒れるかぁ! 」


 リィラ目掛けて横一閃に振り払う、リィラはそれを受ける。


 刃をお互い激しく弾き合う、水と岩の刃はぶつかり合い水が弾ける音が聞こえた。砕練刀サイレントによる衝撃は弱まっているようで、青い龍を吹き飛ばすほどには至らなかった。


(くっ! このまま弾き合っても無駄だわ)


 リィラは必死になって、この時気付いていなかった......

 刃を打ち合う度に水の音が激しく流れ落ちる滝のような音に変わっている事を。


 砕練刀サイレントにひびが入っている事を。

 次の瞬間......砕練刀サイレントが真っ二つに折れた。

「......!?」


 リィラは後ろに2.3引き再び砕練刀サイレントを生成し直した。頰を少し刃がかすめたようで血が少しにじんで来ている。


 青い龍が追い打ちを仕掛ける。


 リィラは砕練刀サイレントで受ける……が真っ二つに折れる。


 リィラは刃をすぐに手放し後ろに素早く退いた。


「無駄だ! もう、貴様の竜技では清練セイレンの"強靭きょうじん"度には敵わないぞ! 諦めて、切られろ!」


(そうだったのね......あいつの竜技は剣を打ち合う度に鋭さを増していく力....)


「今の私じゃ......」


 青い龍は水の刃を振り下ろす。

 リィラは砕練刀サイレントを発現させ、受けようとした。


(駄目だ.....真っ二つに折られて……そのまま私も……)


 後ろから激しい龍の雄叫びが聞こえた。


忘岩ボウガン!!」


 岩で生成された弓を構え、ログは強く引き絞り、放った。


 凄まじい速度で飛ばされた岩の矢は青い龍の肩に刺さり吹き飛ばされていった。


「……リィラ......大丈夫か?……無理はするな!」


 ログは動けず、屈み込んでいる状態だったが、岩の弓をもち構えていた。


「ログ......今のは?.....うぅん....助かったわ! 」


 青い龍は刺さった矢を抜き再び立ち上がる血が流れている。


「ま……まだだ……まだ! 清練セイレン!!」


 そう言うと水の刃を構え、ゆっくり近づいてくる。先程の滝の様な大きな音はきこえない。


「ログ……まだそれは撃てるの?」


「大丈夫だ……問題ない」


「分かった、それであいつの動きを少しでも良いから止めて欲しいの……ログ……いい?」


 リィラは後ろを振り向きログと目を合わせた。ログは忘岩ボウガンを構え頷く。


「……余所見よそみをするな!!」


「……悪かったわね」


(反撃開始よ!)


 リィラは再び砕練刀サイレントを構えた。


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