第7話 一閃

 山のふもと付近には枝別れした木々が所々に生えている、その大きさは五メートルもあればかなり高く見上げる程の木も生えている。


 地面には草木が生え所々に腰まで隠れそうなほどの茂みがある。近くには川が流れ山の麓まで流れていた。


 そこにいる岩龍がんりゅうログと少女リィラは川から襲いかかってきた、青い龍と対峙していた。


「その包帯、ゴツゴツした特徴的な肌色の竜......やはり貴様だ!貴様がセレンを襲った! 」


 岩龍は岩で生成した刃、砕練刀サイレントを構え首を傾げる。


「何の……事だ?」

「とぼけるなっ! 」


 青い龍は踏み込み清廉セイレンによって発生させた水の刃を真上から直線に振り下ろす。


 ログはそれを横一閃に砕練刀サイレントを振るい受ける。刃が触れ合った瞬間ログの砕練刀サイレントの衝撃が発動し、青い龍へ攻撃を向ける。


「.....!?」


 音も無く発生した衝撃によって青い龍は川の近くの地面に吹き飛ばされ、叩きつけられる、地面は激しく砕け砂埃が舞った。


 ログは今ので力を使い果たしたかのように、地面に手を着き屈み込む。

「ハァッ......ハァ......」

「ログ!」


 リィラが寄り掛かる。


「ログ! 早く逃げましょう! .......ほら、肩に捕まって。」


「リィラ、まだ......駄目だ......あいつは.......気を失っていない、また襲いかかって来る.......はずだ」


 リィラはログを見た、こんな状況だというのに落ち着いているようだった、息も荒く、まともに立っていられる状態でもないのに。


 リィラはそんなログに、鼓舞されたのか少し溜息をつき話した。


「ログ……貴方の竜技って触れたものの音を消したり、衝撃を発生させて吹き飛ばす力を持っているの?」


 ログは答えた。


「あぁ、そうだ......何か......思いついたのか?」


 リィラは言った。

「えぇ......ログ......貴方の砕練刀サイレントの力を私に貸してくれない?」


 岩龍ログは驚いた。


「リィラ?......何を言っているんだ?砕練刀サイレントは俺しか発生させることは出来ない、渡しても効果は発揮しない」


 リィラは答える


「説明している時間がないの……ログ、お願い!」


 ログは真剣な表情のリィラを見て言った。


「分かった!俺はどうすればいい?」


 リィラはログと目を合わせた、そしてリィラの心の中が熱くなった様に、何か見えない糸で繋がったような、それでいて心地良い力強さの様なものが繋がるような感触で体が覆われた。


「ありがとう!ログ、これでいいわ!私は今"承認を"得たわ!」


承認しょうにん?」


 青い龍が水の刃を構え飛び掛ってくる。

 リィラは叫んだ。


「ログ!そのまま伏せて」


 リィラは咄嗟に岩で生成した刃を横一閃に振り払ってこう叫んだ。


砕練刀サイレント!!」


 ログは信じられなかった……目の前の光景を疑っていた。


(リィラ? 君の竜技りゅうぎなのか? 一体これは)


 同じ竜技りゅうぎは存在するはずがない……人や竜はそれぞれ別々の竜技りゅうぎを持っているはずだ……いや、俺の見聞違いだったのかもしれない。


 だがやはりリィラは俺の竜技りゅうぎを使っている!


「何!?」


 対する青い龍は突然のリィラの一撃に不意を打たれ防御態勢を取る。


 水の刃と岩の刃は激しくぶつかり合い、音は立たなかったが青い龍は衝撃で吹き飛ばされていく。




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