第2話よく見知った天井、運命を定められた子どもたち
医務室だ。
間違いなく医務室の天井だこれ。
…なるほど、またレベッカ先生にぶっ飛ばされたと見える。
そんなことを考えていると医務室のドアがガラッと音を立てて開かれる。
「お、ようやく起きたかアル。フミルちゃんが治療してくれたから動けるだろ?もうすぐ昼休みも終わるしとっとと屋外行こーぜ、次シルヴァ先生だから遅れたらぶん殴られるぞ」
「親友よ、その前に一つ聞こうか。何故起こしてくれなかった」
「授業中の話か?運ばれてからの話か?つってもいつものことじゃねーか、早く行こうぜ」
…自業自得とはいえ、治療されて間もない友をもう少し気遣ってもいいんじゃないか?
「ったく。でもさすがに入学早々遅刻魔扱いも良くないよな。」
「じゃあ、とっとと行くぞー」
「きゃっ!!」
アルの言葉を聞いてドア口に立っていたヴァンが振り返ると、ちょうど廊下を歩いていた一人の生徒とぶつかった。とっさにヴァンは転びそうになるその女の子を支える。
「悪いっ!大丈夫か?……って凄いね、その速さで錬天術を?」
ぶつかった女の子の背中には、地面から受け止めるように隆起した床が彼女の転倒を防ごうとしていた。
遅ればせながらアルが医務室から出てくる。
黒髪ショートボブスタイルで短めのスカートからスラリと伸びた脚が眩しい彼女の顔を見て、
「おいおい、何してんだヴァン。きぃつけ、ろ、よ、、、うわ」
「うわとは何だ、うわとは。これでも転びそうになった女の子を支えようとだな」
「いや、そっちじゃねぇよ」
ヴァンに抱きかかえられるように支えられた女の子は、ヴァンの背後の声に顔を出した。
「げ」
「…なに?アルの知り合いか?あ、ぶつかってごめんね」
こっちとあっちを交互に見るヴァンに対し、居住まいを正した女の子が丁寧な口調で返す。
「いえ、こちらこそごめんなさい。あなたもケガはない?あとこんにちは、アルエーリ君」
……アルエーリ、君って何だよ、というか何だその口調は、初めて聞いたわ。
「あぁ、大丈夫だよ。やっぱり知り合いなんだな二人とも。とはいえうちのクラスでも無いのになかなか手が早いことですなぁ、親友君」
先程の意趣返しのようにからかう口調でヴァンが言うと、やれやれといった様子でアルエーリはため息混じりに告げる。
「ヴァン、おまえにだから言っとくがな。こいつはローゼ。ローゼ・エイプリル。おれの、、、」
少しためらいながらアルエーリは続けた。
「許嫁だよ」
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