24 小瓶
差し出された木の箱に入っていたのは,自分たちのコードが書かれたメモと手紙。そして液体の入ったチェーン付きの小瓶だった。
「これは博士が,“失敗作と呼ばれる人形がいる。彼らに渡して欲しい”と,ここから去る直前に頼まれたものです。」
リュカは自分たちを見て言い切った。
「この液体って,薬じゃないないですか?」
思わずというように,声を出したのは後ろにいたジェイだった。
「はい,そうです。博士は彼らに『死』を与えるのだと言っていました。」
青年は肯定する。
「博士はこの薬があれば,彼らなら人間に混ざって暮らしていけると話していました。似たようなことがその手紙に書いてあるんじゃないですかね?」
その言葉にアンは俺の持つ箱から手紙を取り出す。丁寧に封を切ると,そっと中身を取り出した。
そこに書いてあったのは,リュカが話していたこと。そして,願望だった。
君たち2人は,この薬で人間と同じように生きることができると思います。他の人形にはない『自我』がある君たちだからです。
「君たちの記録はもうこの世界に残っていない。だから,人間と同じように生きて欲しい。」
アンが読み上げた手紙の最後にはそう記されていた。
「そうですね。この国の記録では人形は全てなくなったことになっています。しかも,彼らは『失敗作』という名の人間により近くなった生命体。」
「君たちは外に出て何かしたいことはありますか?」
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