24 研究員
「博士はですね。つい先日消えました。」
僕は博士の元で働いていた研究員です。と,なんてことないように伝えてきた。
「博士が消えた?どういうことだ?」
上官が問うと,リュカはコーヒーを口に含みゆっくりと口を開いた。
「博士はあの国で人形を開発した科学者で,この国に亡命してきてからは人形を無力化する薬を開発していました。その博士は,つい先日この箱を託してここを去りました。
そのあとの行方は探していますが見つかっていません。」
見つかったのは所々焦げた身分証だけです。と,机の上に置いてあった箱を撫でた。特になんの装飾もない木の箱だ。
「彼らが人形ですか?」
リュカと俺たちの目が合った。
「ああ,そうだ。地下室に長期間いたみたいだから人形だと思うが,一応確認をお願いしたくてな。」
そう上官が答えると,リュカは立ち上がり
俺の腕をとった。
「脈を確認させてもらうよ。」
人形には脈がない。少し触ると,同じようにアンの腕も取った。
「2人とも人形で間違いないと思います。コードを聞いてもいいですか?」
「コード?2人とも言えるのか?」
上官もこちらを向く。
「A-481。」
「V-613。」
その答えにリュカは驚いたようだった。
「博士から2人にと頼まれたものがあります。」
そう言って木の箱を俺たちに差し出した。
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