7 過去

 「という理由だよ。」


 その話は,きっとよくある話なのだろうが俺たちには新鮮だった。

 守りたい家族がいて,意思を持って軍人として戦場に立った。

 俺たちは守るべきものも,戦場に立つという選択も全て開発されたその瞬間に定めらていた。


 「羨ましい。」


 アンの口から言葉がもれた。

 その言葉にスペクトはびっくりしたらしい。


 「なんでだい?家族も,仲間も死んで唯一の出来ることを奪われたのに。」


 「私たちは,全部決められていたから。するべきことも,助かるべきものも。もちろん,出来ることだって。」


 「じゃあ,次は君たちの話を聞かせてよ。」


 突然だった。


 「どっちから話す?」

 

 アンと顔を見合わせる。


 「俺から話すよ。」


 アンはびっくりしたようだった。


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