登場人物はふたり。家庭教師の先生と、その教え子。ふたりの間に特別なことは起こりません。ただかわいらしい少年が、優しい先生の言葉を聴いて学んでいるのです。けれどもその様子は、読後に不思議な あたたかさをくれます。ぬくもりのあるやわらかな文体には、どこか近代文学の香りを感じました。読み終えたあとには、少し前の年代を舞台にした穏やかで素敵な映画を観たような満ち足りた感じが残ります。素敵な作品に出会えました。ありがとうございます。
穏やかで優しい家庭教師と、純粋で聡明な少年。先生が教えてくれるのは宇宙の神秘的な広がりです。何が起こるでもない、そんな授業風景の一場面、小さな閉じた平和な世界から、少年の想像と思考は無限の宇宙に広がります。ところで、「宇宙の授業」という言葉から、『銀河鉄道の夜』の冒頭を連想するのは、わたしだけでしょうか?