第18話"中臣鎌足の正体(後編)
だが、鎌足が蘇我氏に連なる者であったのなら、倉山田石川麻呂を頼みにせずとも 自ら一族を割ればいいような気もする。それが出来なかったのは、彼が若年であったからか、あるいは、一族の中での地位が それほど高くなかったからか。鎌足が蘇我氏に連なる者であったことが事実だったとしても、別の氏族に入っていた可能性も考えられる。蘇我氏は 一族の者を他氏族に入れるという形で 多数派工作を行っていた。
このうち、私は 鎌足は蘇我氏から他氏族に入った人物の線を疑っているが、それでは、どこの氏族に入った人物なのか?
私は 藤原氏の祭祀する春日大社に祀られる
ちなみに、鎌足が 蘇我氏とは関わりのない純粋な物部氏の一員と考えない理由は、その場合 素姓を隠す必要性が見当たらないからだ。
しこうして、私は 藤原氏の始祖 中臣鎌足の正体を、蘇我入鹿の弟である"物部大臣"ではないかと胸算していた。
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