第8話 天武天皇の正体を巡る学説
壬申の乱の勝者 天武天皇(第40代)の正体を巡る学説は、正史上 同母兄とされる天智天皇(第38代)との関係を基軸として、大きく 3つの系統に分類される。すなわち、
① 非兄弟説
② 異父兄弟説
③ 異母兄弟説
だ。
このうち、①の非兄弟説は その名の通り、天武は 天智とは赤の他人とするものであって この説の中には、新羅人 金多遂や高句麗人
ただまぁ、兵を率いていないポッと出の外国人に、豪族達がついてくるかなという気はする。この点は、同国人であっても同様で、それなりの権威なり、武威なりは必要だったのではないかと私は推量している。
翻って、②・③は、天武は 天智と兄弟関係にあったとはするものの、父もしくは母、どちらかが異なっていたとする。正史『日本書紀』には、天智の異父兄・異母兄がそれぞれ登場しており、これらの説は その人物達を念頭に置いていた。
なお、何故 天武は 天智の異父兄・異母兄であって、異父弟・異母弟でないかと言えば、後世の歴史書と正史『日本書紀』における天武と天智の年齢の兼ね合いである。それらを見比べると、弟である天武の年齢が 兄である天智の年齢よりも上になってしまう。天武天皇の正体を巡る学説は、そもそも、この年齢逆転に端を発していた。
現在のところ、これらの説のうち、②の "異父兄弟説"が優勢であるかのような印象を私は抱いている。そして、私も その説を支持していた。
私がその説を支持する所以として、ある兄弟神にまつわる神話の存在があった。
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