第2話
佐藤勝人ちょっと大人げなかったと反省していた。
いくら自堕落で大嫌いな弟が、借金も返さないのに一人前ズラして息子に自分の悪口を吹き込んだからといっても、子供の前で親の悪口を言うべきではなかったと、そう心から思ったからだ。
それに新型コロナウィルスは、毒性は弱いと言われているが、持病を持った人や抵抗力の弱い人が感染すれば、命の危険がある事は間違いないのだ。
初恋に心を奪われてる甥っ子が、純粋に初恋相手を助けたいという想いを、馬鹿にすることも踏みにじることも許されない。
とはいえ、異世界が極めて危険なのも確かだ。
とてもじゃないが、可愛いたった一人の甥っ子連れて行けるわけがない。
「そんなに危険危険と言わないでくれ。
あれでも私の創った世界なのだ」
「おい、おい、おい。
こんな所にきて大丈夫なのか?
この世界の人間を勝手に召喚して、この世界の神々を激怒させたんじゃないのか?
それともこの世界の神々に戦争を吹っ掛ける気になったのか?」
「物騒な事を言わないでくれ!
こっちの神々にはちゃんと頭をさげて謝った。
今回も事前に承諾してもらっている。
だから安心して来てくれ」
「はぁ?
なにふざけたこと言ってるんだ!
前回どれほど苦しんだと思ってるんだ!
誰が二度と行くもんか!」
「それはこちらの神々にも言われた。
心から反省している。
だからこそ、前回巻き込んでしまった人の大切な人を、あちらの世界にお招きしたいのだよ」
「どう言う意味だ?
何を考えている!」
「勝人は新型コロナウィルスになど罹らないであろう。
罹ったとしても発症しないであろう。
それだけの体力をあちらで得ているであろう」
「蓮をあちらで鍛えろというのか?
あちらのような危険に満ちた世界で!」
「勝人の時のように、不意に無理矢理連れて行かれたら危険だ。
あの時の事は私が愚かであった。
だが今は違うであろう。
勝人という後見人がいて、色々な装備や薬も大量に持ってる。
あらゆる病気や毒に対する薬を用意しているし、治癒魔法も会得している。
危険はほとんどないであろう。
あちらで鍛えたら、こちらに戻ても役に立つのではないか」
「ふむ、確かに一理あるな。
だけど、蓮はまだまだ幼い。
向こうで得た能力を、こちらで秘密にしたり封印したりできないかもしれない。
こちらであちらで得た力を使ったら、こちらの神々の逆鱗に触れる。
蓮はあちらから戻って来れなくなるじゃないか!」
「いや、それは大丈夫だ。
こちらの神々には、何かあった場合はあちらの記憶と能力を封印してもらうことで、話は付いている。
だから安心して欲しい」
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