臨時休校になったので、異世界にコロナウィルスの特効薬を探しに行きます。

第1話

「伯父さん、異世界に連れて行ってよ！」

「おい、おい、おい。

　伯父さんが異世界に行けるのは秘密だといっただろ。

　それに危ないから女子供は連れて行けないとも話しただろ」

「そんなことは覚えているよ。

　だけど学校が休校になるくらい日本も危険じゃないか。

　そんな日本にいるくらいなら、異世界に行ってもいいじゃないか」

「なのなぁ、蓮。

　日本のどこが危険なんだ？」

「え？

　だってコロナウィルスが危険だってテレビでもネットで言っているじゃないか！

　だから学校だって休みになるんでしょ」

「伯父さんがいつも言っているだろ。

　テレビは何が起こっても、反首相反政府反日につなげると。

　そんな簡単に騙されていたら、マス塵にいいように操られるぞ」

「だって、でも、学校の先生も、陽翔君も凛ちゃんも危険だって言ってたよ！」

「凛ちゃんてのは、以前蓮が言ってた好きな子だよな？」

「そんな事どうでもいいだろ！

　それよりも言い訳ばかりしてないで異世界連れて行ってよ！」

「あのなぁ、よく聞けよ。

　異世界の方が色々と危ない病気が蔓延しているんだぞ。

　日本ではもう絶滅していて、蓮が予防接種していない病気が沢山あるんだ。

　伯父さんも何度も病気で死にかけているんだ。

　そんなところに大切な蓮を連れて行けるわけがないだろ」

「だって、でも、凛ちゃんがコロナウィルスになっちゃたら、コロナウィルスに殺されちゃうかもしれないじゃないか！」

「確かに、コロナウィルスには危険なものもあるよ。

　重症急性呼吸器症候群コロナウイルスや中東呼吸器症候群コロナウイルスは、危険なところのある病気だとは伯父さんも思うよ。

　でもね、蓮が罹ったことのある風邪もコロナウィルスなんだよ」

「え？

　だったらなんでテレビであんなに騒いでいるの？

　学校が休みになるの？

　伯父さんのテレビ嫌いや新聞嫌いはなしにして教えてよ」

「ああ？

　康人の奴余計なことを！」

「父さんは伯父さんが右翼かぶれだと言っているよ」

「康人の方が左翼にかぶれたんだよ。

　嫁さんに影響されやがって、あの根性なしが！」

「母さんの悪口はやめてよ！」

「はい、はい、はい。

　伯父さんの言う事より父さんや母さんの言う事を信じるなら、異世界の事も信じるんじゃない。

　伯父さんは大嘘つきだと父さんや母さんに言われているんだろ？

　さっさと帰れ、もう来るんじゃないぞ！」

「あ、ごめん、ごめんなさい、伯父さん！

　伯父さんの話を信じるから、信じるから異世界に連れて行ってよ！

　伯父さんが話してくれた魔法の薬が欲しいんだ！

　凛ちゃんがコロナウィルスになった時のために持ってきたいんだよ！

　お願いだから開けてよ、伯父さん！」