第15話
「お初にお目にかかります。
キルクパトリック公爵家のマリアと申します。
これからもよろしくお願い申し上げます」
私の前に次々と令嬢が挨拶に現れます。
みな未来の皇后の座を狙っているのです。
第一皇后は私で決まっているのですが、皇国では規定上四人まで皇后を置くことができるのです。
皇后:皇帝の正妻
貴妃:第一皇后
徳妃:第二皇后
淑妃:第三皇后
賢妃:第四皇后
九嬪:皇后の次に位置する九人の夫人
昭儀:第五夫人
昭容:第六夫人
昭媛:第七夫人
修儀:第八夫人
修容:第九夫人
修媛:第十夫人
充儀:第十一夫人
充容:第十二夫人
充媛:第十三夫人
二十七世婦:九嬪の次の位
婕妤:九人
美人:九人
才人:九人
八十一御妻:二十七世婦の次の位
宝林:二十七人
御女:二十七人
娞女:二十七人
総人数百二十一人もの女性を正式に妻というか夫人にできるのです。
ですがここ数代はこのような愚かな制度を利用した皇帝陛下はおられません。
義父上の現皇帝陛下も後継問題を考え、皇后陛下は一人に決められておられます。
まあ、九嬪は九人、二十七世婦も幾人か置かれておられますが、それは仕方のないことだと思います。
ルーカス様は皇后は私一人にすると断言してくださっています。
皇帝陛下も後継問題で内乱や内紛を起こしたくないので、皇后は私一人にすべきだと基本的に考えてくださっているそうです。
ですがそれはあくまで基本的な考えです。
私になかなか子供ができなければ、ルーカス様に徳妃を勧められるでしょう。
それが皇帝陛下の義務でもあります。
そう考えれば、皇国貴族家当主や令嬢が皇后の座を狙って、私が妊娠しないように動くのは当然のことです。
毒や呪詛など、ありとあらゆる方法を使って、私が妊娠しないようにするのが当然のことなのです。
皇后陛下も毒や呪詛を跳ね除けてルーカス様を妊娠し、無事に出産し、ルーカス様が毒殺や呪殺されないように戦ってこられたのです。
そう考えれば、皇后になる者は、皇太子妃になる者は、実家や後見人が絶大な力を持っている必要があります。
そうでなければ子供を産み育てることなど不可能です。
ですが私には何の後ろ盾もありません。
実家のヴェイン王家には何の力もありません。
ヴェイン王国の力も当てにできません。
どちらもごく最近まで私の敵だったのです。
ルーカス様が残してくださったモノ達によって、何の問題もなく統治運営されていますが、助力にはならないのです。
「心配しなくていいよ、イザベラ。
私の近習達にまかせていれば大丈夫だよ。
今彼らの妹や娘からイザベラの側近を選抜しているからね」
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