第3話 「天孫降臨」

 伊勢神宮に祭祀されている天照大神は、「天岩戸」神話の状況から太陽神だと見受けられている。

 この国では、概して"太陽神=最高神"だと認識されているのではないかと私は受け止めているが、世界的に見れば、必ずしもそのようなことはなく、例えば ギリシア神話の主神たるゼウスは全宇宙や天候を支配する天空神であった。

 最高神たる天照大神が太陽神を兼ねていることから上記のような錯覚が生まれたとも私は考えているが、この国において太陽の占める重要度が高かったことは想像に難くない。ちょうど 正史『日本書紀』が編纂された時代に、この国は"日本"と名乗っていた。


 天照大神が最高神たる所以には、この国にあって太陽が神聖視されていたということはあると思うが、それ以外にも天照大神はという特別な側面を有していた。

 かの女神はイザナギ・イザナミの子として誕生し 天界を総覧していたが、自らの孫を地上に降下させ、かの地の統治を命じていた。そうして、天照大神の孫であるニニギの子孫とされるのが 現在の天皇家である。この事績から天照大神は皇祖神として敬われていた。


 天照大神

  ‖——⬜︎—— ニニギ ……… 天皇家

 スサノオ


 高天原を統べる主宰神 天照大神は 女神でありながら 太陽神かつ最高神であるわけだが、女神が太陽神であることは意外と珍しくない。陽が♂、陰が♀であることから、一般に太陽神は男神であると思われがちだが、世界的に見れば"太陽神=女神"も20例以上存在していた。

 されども、女神でかつ最高神というのは、世界的に見ても珍しい。いったい全体 何故、このような現象が生じたのか?

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